1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07304042
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
棚部 一成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20108640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 聡 静岡大学, 理学部, 助手 (10236812)
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)
遠藤 一佳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80251411)
上島 励 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (20241771)
大路 樹生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50160487)
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Keywords | 無脊椎動物 / 遺存種 / 進化 / 分子生物学 / 発生学 / 解剖学 / 古生物学 |
Research Abstract |
1.生態学・分類学的研究 加瀬・速水・花井・田吹・森は南太平洋全域の海底洞窟において原始的無脊椎動物群の生態調査を行った。採集された無脊椎動物群の生体・遺骸集団標本について、分類学的・生態学的・分子系統学的研究を実施しつつある。予察的ながら、多くの遺存種は餌の少ない海底洞窟生活に適応した特殊な生態・生活史を持つ類が多いことが判明した。 2.発生学的研究 棚部は鳥羽水族館の内山公夫氏の協力を得て、原始的頭足類オウムガイ類の胚殻構造の形成過程を調べた。その結果、発生初期には楕円形の有機質でできた殻がまず形成され、それ以降明瞭なくびれを作りながら3層構造からなる殻が付加成長的に形成されることが判明した。発生初期に認められたものと酷似する楕円形の有機質殻は、二枚貝類や単板類の発生初期にも認められ、これらが共通の祖先から進化した可能性を強く示唆する。 3.分子系統学的研究 1)遠藤および上島は「生きている化石」を多く含む触手冠動物の高次の系統上の位置を明らかにする目的でミトコンドリアDNA(mtDNA)の遺伝子配列の比較および,ペプチド鎖伸長因子(EF-1α)のアミノ酸配列の比較を行った。その結果触手冠動物は後口動物より前口動物に近縁であることがほぼ確かとなった。 2)千葉は古生代から現在までほとんど形を変えずに存続している「生きた化石」カブトエビ属全4種中3種のミトコンドリアDNA、16SrRNAとCOI遺伝子の塩基配列(部分配列)を決定し、地域集団や種間の系統関係を推定した。その結果、形態の極端な安定性と遺伝的多様性は独立であり、この部類は遺伝的、あるいは集団としては他の生物と同様の分化を遂げていることが示唆された。 4.理論的研究 千葉は量的遺伝学にもとづいて長期の表現型の進化パターンを表現する数理モデルを構成し、生きている化石と呼ばれるような長期の形態の安定が、長期にわたり極端に安定な環境と、長期にわたり極端な不安定な環境のいずれかで出現することを示した。さらに同じモデルでCopeの法則や、大量絶滅直後の小型化と加速度的な進化などのパターンを記述することができた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tanabe,K.& Uchiyama,K.: "Development of the embryonic shell structure in Nautilus." The Veliger. (印刷中). (1997)
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[Publications] Tanabe,K.& Fukuda,Y.: "In:E.Savazzi(ed.)Functional morphology of the invetrebrate skeleton.John Wiley & Sons." Morphology and function of cephalopod buccal mass. (印刷中). (1997)
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[Publications] Kase,T.& Kinjo,H.: "A nassariid gorstropod from the submarine caves of Okinawa,Japan and Bohol,Philippires." Venus. 55・3. 199-205 (1966)
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[Publications] Oji,T.: "Is predation infensity reduced with increasiry depth ? Evidence from the west Atlantic stalked crinoid Endoxocrinus parrae(Gervais)and implications for Mesozoic narine nevolution." Paleobiology. 22・3. 339-351 (1996)
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[Publications] Chiba,S.: "Ecological and morphological diversification and character displacement in Mandarina,an endemic land snail of the Bonin Islands." Jour.Evolutionary Biology. 19(印刷中). (1997)
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[Publications] Chiba,S.: "A 40000-year record of discontinuous evolution of island srails" Paleobiology. 22・2. 177-188 (1996)
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[Publications] Landman,N.H.,Tanabe K.& Davis,R.A.: "Ammonoid Paleobiology" Plenum Publishing Corporation, 857 (1996)