Research Abstract |
本年度は、AFM観察における探針先端形状の重要性について検討を加え,AFM探針先端形状とAFM像の関係について考察を加えるとともに,電子ビーム堆積(EBD)を利用したAFM探針を作成して,その有用性について検討した。さらに,AFM・STMを破壊強度研究に用いた例として,STMを用いたAuやCuなどの繰り返し変動荷重下における表面損傷の微視観察,水素吸蔵合金の表面の微視的変化の観察,腐食環境中の腐食生成物のナノメータオーダの成長過程観察,オーステナイト系ステンレス鋼の粒界腐食・応力腐食割れき裂進展のその場観察を行った。その結果,粒界腐食はナノメータオーダの腐食ピットが粒界に沿って発生・成長し,それらの腐食ピットがお互いに連結して綿状の粒界腐食に進展すること,また,応力腐食割れき裂は,巨視的にモードIの負荷下においても微視的に見るとモードI,II,IIIの混合モードでき裂が進展すること,応力腐食割れき裂はミクロンメータオーダでは停留することなく連続的に進展すること,環境を真空環境に変更すると,き裂先端が鈍化してき裂が停留するが,再び環境をSCCを生じる大気環境に変更することにより,鈍化してき裂先端より再び鋭いき裂が発生・進展することを明らかにした。さらに,高強度・高弾性繊維の環境劣化繊維の表面をナノメータオーダで詳細に観察することにより,セラミックス系繊維においてはSCGに起因する表面損傷を,また,有機系高強度繊維であるアラミド繊維では,吸収,真空環境放置,電子線照射,さらに紫外線照射により繊維表面にナノメータオーダの「ふくれ」状損傷傷や「溝」状損傷が生じることを明らかにし,これらの微小損傷により繊維スプリッティングが促進されて,繊維引張強度が低下することを明らかにした。さらに,AFMを用いた,超微小硬さ計を開発するとともに,その微小硬さ計の応用について考察を加えた。
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