1996 Fiscal Year Annual Research Report
環境におけるトリチウムの動態とその生物による変換機構-重水素野外放出予備実験-
Project/Area Number |
07308038
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Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
一政 満子 茨城大学, 理学部, 教授 (60007557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡井 富雄 九州大学, 工学部, 講師 (50150488)
百島 則幸 九州大学, 理学部, 助手 (80128107)
佐久間 洋一 核融合科学研究所, 安全管理センター, 助教授 (30133119)
久松 俊一 秋田大学, 医学部, 助手 (50108932)
一政 祐輔 茨城大学, 理学部, 教授 (30007760)
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Keywords | トリチウム / 環境動態 / 重水素野外放出実験 / 重水素 |
Research Abstract |
トリチウムの環境動態を解明する目的で、トリチウムを使っての野外放出はわが国では困難であることから水素の安定同位体である重水素を用いて外挿実験することとした。本年度は茨城大学水戸キャンパスにビニールハウスを置き、その中に一定濃度の重水水蒸気を8月に48時間連続放出した。ハウス内の気温や湿度は空調装置によりコントロールされた。ハウス内にはポット栽培のイネ、ダイズ、コマツナ等の各種植物および土壌試料、ウキクサやイラコ、タナゴ、カラス貝等の入った水槽とラットのケージ等が持ち込まれた。ハウス内空気中の重水濃度は放出3時間で約24000ppmに達しその後若干の変動幅をもって一定の濃度が保たれた。空気中水分の重水濃度に対する各種試料の自由水中の重水濃度の比(R)は、イネ、イチジク、キンカンの葉が最も高く約0.8で、その他の葉もいずれも0.6以上、イネ籾のRは未熟な籾ではほぼ0.6だが、収穫直前のものでは低く、ダイズ、イチジクの実、ブドウ、キンカンの実では値はさらに低くなり、ミニトマトの実は最も低く、植物の種類、部位、生育ステージにより異なることが明らかになった。根からの移行を除外したコマツナ等の葉の重水の取り込みが夜間と日中で比較され、移行速度や平衡濃度が植物の種類や昼夜で異なること及び降雨処理による植物中重水濃度の減衰効果が見られることが明らかになった。魚への重水取り込みは水中へ移行した重水濃度に依存し、平衡時にはほぼ等しくなった。ウキクサの濃度は大気中重水濃度に依存した。土壌への重水の沈着と再放出が夜間と日中で調べられ解析された。また、土壌に沈着した重水からの重水素ガス及び重水素メタンへの変換率が概算された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Ichimasa et al.: "D2O Vapor Release Experiments in a Greenhouse--Transfer of D2O to Tissue Free Water in the Environmental life and its Elimination" Journal of Fusion Engineering and Design. (in press). (1997)
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[Publications] Y.Ichimasa et al.: "Tritium Behavior in the Environment and Human Dose -D2O Release Experiment in a Greenhouse-" Journal of Fusion Enginereing and Design. (in press). (1997)
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[Publications] M.Atarashi,H.Amano et al.: "Deposition of D2O from Air to Plant and Soil during an Experiment of D2Ovapor released into a vynyl house" Journal of Fusion Enginereing and Design. (in press). (1997)
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[Publications] S.Yokoyama,H.Noguchi et al.: "Reemission of Heavy Water Deposited on a Soil Surface to the Atmosphere." Journal of Fusion Engineering and Design. (in press). (1997)