健康な生活環境の設計-抗ストレスビタミンによる成人病の予防

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07308057
• Research Category: Grant-in-Aid for Co-operative Research (A)
• Research Institution: Ochanomizu University
• Principal Investigator: 倉田 忠男 お茶の水女子大学, 生活環境研究センター, 教授 (60011920)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 鈴木 恵美子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (80154524) ; 大塚 譲 鳥取大学, 教育学部, 助教授 (20135833) ; グュエン ヴァンチュエン 日本女子大学, 家政学部, 教授 (80175322)
• Keywords: 抗ストレスビタミン / ビタミンC / 健康 / ストレス

Research Abstract

わが国が今後必然的に迎える超高齢化社会において、国民の最大の関心事は健康、特に成人病に関する問題であると考えられる。一方、糖尿病、がん、心疾患等に代表される成人病の発症に、生活環境に由来する各種のストレス、特に科学物質がもたらす化学ストレスが重大な影響を与えていることは広く知られている。本研究の主目的は、生活者の立場から「健康な生活環境の設計」に役立つ基礎資料の集積を図ることにあるが、本年度および次年度においては、抗ストレスビタミンとして知られているよりには研究が遅れているビタミンCの成人病予防効果の一端を明らかにし、その予防機構の概要を解明することを目的とする。すなわち、健常動物および糖尿病動物を一定の実験条件下で飼育し、それぞれ所定の条件下でタバコの煙に曝して一定の化学ストレスを加え、この間における血液成分変動差を調べるとともに、飼育実験終了後、動物体内の主要臓器中のビタミンC濃度、肝薬物代謝系酵素活性の変動等々を測定し、ビタミンCの抗ストレス効果を評価することとした。なお、現有実験施設の規模やその他実験実施上の制約等を勘定し、本年度はまず健常動物に関する基礎的実験データを収集することとし、タバコの煙に曝す受動喫煙条件の設定、受動喫煙による動物体内のビタミンC代謝の変動等を中心に検討した。その結果、ラットは受動喫煙処理により尿中および血液中ビタミンC濃度が増加すること、肝臓等の主要臓器中ビタミンC濃度や肝薬物代謝系酵素活性が上昇することなどが明らかになり、ビタミンC合成能を有するラットは受動喫煙による化学ストレスに対してビタミンCの合成を亢進させて自信を防御していることがわかった。現在、ビタミンCの合成不能な実験動物を用いて同様な実験を実施してる。また、実験動物に対する糖尿病誘導用薬剤の最適投与条件等についても検討中で、糖尿病動物に関する実験データは次年度に収集する予定。