1995 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツファンの社会学-近代スポーツ文化の変容過程-
Project/Area Number |
07308059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Co-operative Research (A)
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
杉本 厚夫 京都教育大学, 教育学部, 教授 (60116605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 恵示 大手前女子大学, 文学部, 講師 (70239028)
菊 幸一 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (50195195)
小椋 博 香川大学, 教育学部, 教授 (10087158)
沢田 和明 滋賀大学, 教育学部, 教授 (20053332)
江刺 正吾 奈良女子大学, 文学部, 教授 (10038466)
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Keywords | スポーツファン / 社会学 / 近代 / 文化 / 変容 |
Research Abstract |
本年度は、基本的には、先行研究の検討から、研究枠組みの設定を行い、それに基づいた作業仮説の構築にあった。その結果、次のような研究枠組みと作業仮説を導き出せた。 学説的なレベルでは、「みるスポーツ」の発生において、見方の現象学的な解釈が必要であり、スポーツファンが文化として存在するための歴史社会学的な考察が不可欠である。また、スポーツファンと観客(スペクテーター)の区別が明確ではなく、この点に関しては、エリアスの文明化の理論による解明が有効である。さらに、日本において、歴史的にスポーツファンがつくられてきた過程に、企業の企てが介在していたことを、プロ野球と都市開発の関係から研究する必要がある。 近代とスポーツファンの関係からは、スポーツファンの発生時に行われていた「賭け」の問題を解明することが必要である。また、スポーツファンのもつ「地域性」にも注目したい。つまり、スポーツファンのローカルアイデンティティが、いかに形成されるかという点が重要である。スポーツに何をみるかという点からすれば、セクシャリティを含む「ジェンダー」の視点ははずすことができない。さらに、「みるスポーツ」の教育からすれば、特に、体育における「見学」の扱いをめぐっての論議は重要である。これらの現象は経済的な論理に裏付けされており、その統制も見逃すことはできない。 スポーツファンと身体の関係からは、ひとつに、近年問題になっているフーリガンを中心とした、「暴力」の問題を取り上げる必要がある。さらに、何故、熱狂するのかという身体性に注目すると、そこには、一種の宗教体験が介在していると考えられる。しかも、これらは、いわゆるメディアによって、情報操作され、われわれをスポーツファンに仕立てていく機構について、解明する必要がある。
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