1996 Fiscal Year Annual Research Report
北海道南西沖地震に伴う家族生活と地域生活の破綻と再組織化に関する研究 -激甚被災地奥尻町を中心として-
Project/Area Number |
07401004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
関 孝敏 北海道大学, 文学部, 教授 (30105647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 健治 静修女子大学, 人文社会学部, 助教授 (60254728)
轟 亮 北海道大学, 文学部, 助手 (20281769)
平澤 和司 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (30241285)
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Keywords | 地震災害 / 復旧・復興 / 自営業(者)層 / 高齢(者)世帯 / 家族発達 / 世帯形態 / 家族生活の再組織化 / 地域生活の再組織化 |
Research Abstract |
平成8年度は継続研究の2年次目にあたる。本年次において明らかになった点は以下のとおりである。 1、a地域生活の破綻と再組織化、b家族生活の破綻と再組織化、に大別して述べることもできるが、両者に共通する重要な論点としていえば、(1)被災後における家族ないし世帯の職業、(2)世帯主の年齢層ないし家族の発達段階、そして(3)家族ないし世帯の形態、の3点であることがまず明らかになった。これらの諸点がからみあいながら、2、新しい住居地区はどこに決定するかについて、壊滅的打撃を受けた3地区のうち、青苗地区の場合、自営業者層は海岸に近い地区を、他のものは高台地区をそれぞれ選択することが多いことが明らかになった。つまり職業による新しい居住地が規定される。したがって近隣生活もこの居住地区を基盤として展開する。他の2地区-松江地区及び稲穂地区-は、比較的小集落のため、職業のいかんにかかわらず道路沿いに並び立地している。3、住宅が全壊したものでは、十分とはいえないまでも義損金が比較的多く支給されたことから、新築の持ち家になるものが多い。しかし、震災前の漁家から被災後に漁業をやめ転職したもの、65歳以上の高齢者のみの世帯、そして家族成員のうちから震災の犠牲者を出し単独世帯になってしまったような家族の場合、公営住宅への入居を選択する傾向がみられた。4、復旧から復興の過程において、皮肉なことではあるが災害特需に伴い、建設・土木・商店・食料品店・民宿・旅館の営業成績は上昇したものの、復興のメドがつき公共事業の支援打ち切り時の平成9年4月以降は、これが落ち込みに向かうであろうということ、漁業経営者は義損金以外に借財をかかえて営業活動を行うものがあること、さらに新築世帯では新築にともなう電気・ガス・上下水道に関する生活費の全般的上昇がみられる、といったことが明らかになった。これらのことから地域生活及び家族生活の再組織化-復興-の過程は、これからまさに真価が問われることになるであろう。
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