1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07404036
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
海津 洋行 東京工業大学, 理学部, 教授 (20016140)
|
Keywords | エネルギー移動 / 金属錯体 / 無幅射緩和過程 / 溶媒効果 |
Research Abstract |
トリスビピリジンオスミウム(II)およびトリスフェナントロリンオスミウム(II)錯体の発光寿命および発光の量子収量について、水、アルコール、ジオキサンおよびその混合溶媒中で、温度を変えて測定した。得られた発光寿命および発光量子収量から電荷移動励起三重項からの無幅射緩和速度見積もった。 前年までに行ったルテニウム(II)錯体と異なり、電荷移動三重項からの緩和過程が直接基底状態へ緩和する過程のみであるので、錯体と溶媒との相互作用が無幅射緩和速度に及ぼす影響をさらに明らかにすることができた。次の結果が得られた。 (1)H_20中で無幅射緩和速度が一番速く、温度を変えた実験から、オスミウム錯体と錯体に包摂されているH_20分子の間のエネルギー移動による消光過程として、無幅射還移速度の増大を説明できることが明らかになった。 (2)水-ジオキサン、水-メタノール、水-重水混合溶媒中での、発光スペクトル、発光寿命について、モル分率依存性の実験から、オスミウム錯体と水とのエネルギー移動がエネルギーを受ける水分子と錯体のそばにいる溶媒分子との相互作用により影響を受けることを明らかにした。 以上の結果から、トリスビピリジンオスミウム(II)およびトリスフェナントロリンオスミウム(II)錯体の発光寿命をプローブとして、混合溶媒の微視的記述の可能性を示した。 さらに、ルテニウム(II)錯体とクロム(III)錯体の間のエネルギー移動についてもあわせて研究し、エネルギー移動に両錯体の配向が影響している可能性があることを示した。これは、上で述べた、包摂している水分子が、外の溶媒分子との相互作用で消光能に変化が出ることを示す実験的証拠と考えられる。
|
-
[Publications] T.Otsuka and Y.Kaizu: "Energy Transfer from [Ru(bpy)_3]^<2+> to [Cr(ox)_3]^<3-> in a Crystal of Double Complex Salt:Na[Ru(bpy)_3][Cr(ox)_3]" Chem.Lett.1997. 79-80 (1997)
-
[Publications] M.Asano-Someda, T.Ichino and Y.Kaizu: "Triplet-Triplet Intermolecular Energy Tramsfer in a Covaleutly Linteod Copper(II)Porpluyrin-Free Base Porphysin Hybrid Dimer:A Time-Reselved ESR Study" J.Phys.Chem.A. 101,No25. 4484-4490 (1997)
-
[Publications] T.Ikagawa, T.Okumura, T.Otsuka and Y.Kaizu: "Distortion of the Unit Cell of Platinum(II) Camplexes under Ligbt Irradiation" Chem.Lett. 1997. 829-830 (1997)