1995 Fiscal Year Annual Research Report
植物界におけるcAMP情報伝達機構の分子生物学的解析
Project/Area Number |
07404045
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 正之 東京大学, 教養学部, 教授 (80013580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 良宏 東京農工大学, 工学部, 助教授 (50185592)
池内 昌彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (20159601)
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Keywords | 植物 / アデニル酸シクラーゼ / cAMP / 分子生物学 / 情報伝達 / ラン藻 |
Research Abstract |
本研究では、ラン藻Anabaena cylindricaからcAMP合成酵素であるアデニル酸シクラーゼ遺伝子を単離し、その全塩基配列を決定し、構造の解析を行った。決定した塩基配列より推定されるアミノ酸配列中には、既知のアデニル酸シクラーゼにおいてよく保存されている触媒領域のアミノ酸配列が見い出された。このアデニル酸シクラーゼは、膜貫通型であり原核・真核生物双方に存在するタイプのアデニル酸シクラーゼにおける保存領域のアミノ酸配列と相同性を示すことが明らかになった。 糸状性ラン藻Spirulinaは、滑走運動をするラン藻としても古くから知られていた。最近我々はcAMPの刺激によってこのラン藻の運動性が増大し、その結果細胞の凝集が起こり、円盤状のマットを形成する現象を見い出した。S.platensisのアデニル酸シクラーゼ活性は、膜画分および細胞質画分の双方において検出されることが明らかにされており、このことから少なくとも2種類のアデニル酸シクラーゼが機能分担していることが示唆される。そこでスピルリナにおいてもアデニル酸シクラーゼの遺伝子の単離を試みた。その結果、真核生物において広く見いだされるタイプのアデニル酸シクラーゼ遺伝子が複数見いだされた。これらの遺伝子をそれぞれcyaA.cyaB、cyaCと命名した。 CyaAは494アミノ酸残基からタンパク質である。アミノ酸配列についてホモロジー検索を行った結果、CyaAの推定細胞外領域がPseudomonas solanacearumのVsrA遺伝子の推定細胞外領域と相同性を示すことが明らかになった。CyaBは膜結合型のアデニル酸シクラーゼであることが示唆された。CyaCのアミノ酸配列を用いたホモロジー検索の結果、CyaCのアデニル酸シクラーゼ保存領域の上流に、タンパク質リン酸化反応を介した情報伝達機構として多種類の細菌においてよく知られているtwo-component制御系を構成する因子と相同性のある配列が見いだされた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Katayama,M.: "Molecular cloning of cyanobacterial adenylate cyclase gene from the filamentous cyanobacterium Anabaena cylindrica." 177. 3873-3878 (1995)
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[Publications] Yashiro,K: "Molecular characterization of an adenylate cyclase gene of the cyanobacterium.Spirulina platensis." Plant Mol.Biol. (印刷中). (1996)