1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07404052
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
清水 洋 熊本大学, 理学部, 教授 (60090544)
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Keywords | Sm-Nd同位体系 / La-Ce同位体系 / 希土類元素パターン / ピルバラ地塊 / 先カンブリア紀 / 上麻生礫岩 / 秩父帯 / チャート |
Research Abstract |
Sm-Nd同位体系・La-Ce同位体系・希土類元素存在度パターンを中心とした地球化学的・同位体地学的研究により、大陸地殻の形成及び進化を明らかにすることが本研究の目的である。本年度得られた主な成果は次の通りである。 1.西オーストラリアのピルバラ地域の始生代チャートについて同位体地学的研究を行い、始生代チャートについての初めてのアイソクロン年代である32億年と25億年を得た。32億年の年代は、このチャートの生成年代を表し、この時代には軽希土類元素の富んだ大陸地殻ははあまり発達していなかったことを、Ce・Nd同位体比により示した。25億年の年代は生成後の変成・変質作用の年代を表していることを明らかにした。本研究の結果は、ピルバラ地域の岩石は変成作用の影響が少なく、その地球化学的性質は始生代における地球表層・地殻・マントルの化学的性質を保存しているとの従来の考えについて、見直しの必要があることを指摘し、年代学的研究をふまえた地球化学的データの重要性を示した。 2.日本で先カンブリア紀の年代を示す数少ない例である、美濃帯の上麻生礫岩の片麻岩礫・花崗岩礫について、Sm-Nd同位体系・La-Ce同位体系・希土類元素存在度パターンの詳細な検討を行なった。そして、原岩の花崗岩の形成年代が約20億年であることを確認するとともに、日本列島の先カンブリア紀基盤岩は、軽希土類元素に乏しいマントルから始生代後半に、大陸地殻の一部として形成されたことを示した。 3.西南日本外帯の秩父帯に分布する古生代・中生代のチャートについて、希土類元素パターン等の地球化学的研究の時代変遷を明らかにした。この結果をもとにして、沈み込み帯における、海洋性堆積物の大陸地殻への付加過程のモデルを検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masayo Minami: "Two Archean Sm-Nd ages of 3.2 and 2.5 Ga for the Marble Bar chert,Warrawoona Group,Pilbara Block,Western Australia" Geochemical Journal. 29. 347-362 (1995)
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[Publications] Hiroshi Shimizu: "Geochemistry of Nd and Ce isotopes and REE abundances in Precambrian orthogneiss clasts from the Kamiaso conglomerate,central Japan" Geochemical Journal. 30(in press). (1996)