1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07405004
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
出澤 正徳 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 教授 (70087435)
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Keywords | 3次元錯視 / 動的錯視 / 両眼立体視 / 立体知覚 / 錯視表面の分離・融合 / パントマイム効果 / 錯視対象の干渉 / 錯視対象の分離・融合 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は、錯視現象を心理学的なプローブとして、人間の視覚システムにおける3次元空間知覚のメカニズムを探り、視覚メカニズムの解明に貢献することである。このため、本年度も、視覚刺激が運動する場合を中心に新しい動的錯視現象を探索し、視覚のメカニズム解明のための心理物理学的プローブの開発とその応用を図ることを目的として研究を進めた。 昨年度の研究で新たに見出されたパントマイム効果および3種類(前面支持、背面支持、側面支持)の支持手がかりについての検討を深めた。特に、体積的な透明知覚に不可欠な側面支持手がかりの役割を、錯視面プローブを用い他の透明錯視におけるものと比較・検討した。その結果、パントマイム効果による透明視は従来からの多層ランダムドットステレオグラムにおけるものとは本質的に異なることが判明した。 また、パントマイム効果で知覚される対象の構造が2つの異なる状態間を遷移する様に支持手がかりとなる視覚刺激を運動させて観察し、体積を有する錯視対象の分離・融合現象が観察された。そして、錯視対象の構造遷移の知覚現象におけるヒステリシス現象の存在が定量的な計測によって確認された。 さらに、両眼非対応領域を有するランダムドットステレオグラムにおいて、手前側に透明対象物の存在が知覚され、両眼非対応部に存在するランダムドットが手前側に知覚される現象が観察され、両眼非対応部が手前側に知覚される配置は物理的に可能であることが証明された。この事実は、従来、この分野の研究者間で信じられていた「両眼非対応領域は背景の深さに知覚される」との仮説を覆す新しい発見である。 これらの新しく見出された動的錯視現象の背後には、さらに多くの未知の現象が隠されており、視覚システムにおける空間知覚メカニズムを解明してゆく上で有力な手がかりとなるものと期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Qi Zhang,Masanori Idesawa Yutaka Sakaguchi: "Pantomime Effect in the Perception of Volumetrical Transparent Illusory Object with Binocular Viewing" Japanese Journal of Applied Physics. 37(印刷中). (1998)
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[Publications] Qi Zhang,Masanori Idesawa: "Occlusion Cues and Sustaining Cues in 3-D Illusory Object Perception with Binocular Viewing" Proceedings of SPIE. 3077. 770-781 (1997)
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[Publications] Masanori Idesawa: "A Study on Visual Mechanism with Optical Illusions" Journal of Robotics and Mechatronics. 9-2. 85-91 (1997)
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[Publications] Weifu Shi,Masanori Idesawa: "Simulation of Depth Interpolation from Surface Boundary in Binocular Viewing" Journal of Robotics and Mechatronics. 9-2. 98-103 (1997)
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[Publications] Tatsuya Iwamoto,Masanori Idesawa: "Volume Perception and a Processing Method of Unpaired Region in Stereo Vision" Journal of Robotics and Mechatronics. 9-2. 121-125 (1997)
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[Publications] Hitomi Koike,Masanori Idesawa: "Some Notes for Anaglyph Stereo Method in the Presentation of Moving Objects" Journal of Robotics and Mechatronics. 9-2. 132-134 (1997)