1997 Fiscal Year Annual Research Report
有用植物成分の大量生産および高選択的変換・分離に関する工学的基礎の構築
Project/Area Number |
07405057
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Research Institution | OSAKA UNIVERCITY |
Principal Investigator |
東稔 節治 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40029418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紀岡 正博 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (40234314)
正脇 照之 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (10209421)
田谷 正仁 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60144127)
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Keywords | 植物色素 / ベタシアニン / アントラキノン / 植物毛状根 / 浸透圧 / セイヨウアカネ / レッドビ-ト / 酵素反応 |
Research Abstract |
平成8年度の成果を踏まえて,アントラキノン系色素,ベタシアニン系色素の大量生産および高選択的変換の達成めざし以下のような検討を進めた. 1.植物毛状根により生成される色素類について,含有される色素の生成に対し鍵となる色素生成酵素活性を中心に検討した.その結果,レッドビ-ト毛状根のベタシアニン系色素には,生成過程の酵素であるチロシナーゼの活性と色素生成の間に相関を得た.一方,セイヨウアカネ毛状根のアントラキノン系色素には,目的物質のアリザリン生成は,アリザリン配糖体からの生成であることを見出し,加水分解する酵素(β-グルコシダーゼやキシラーゼ)活性が重要であることが分かった. 2.毛状根増殖のための培養条件の検索を行った結果,接種の際に毛状根を切断するといったストレスを与えることにより,植物ホルモンのオーキシン類の発現が促され,毛状根の発根が生じ,その結果培養中の増殖速度が上昇することが分かった.さらに切断のする長さや部位について検討を行った結果,切断間隔が5mmでセイヨウアカネ毛状根については,毛状根すべての部位において,レッドビ-ト毛状根については,先端から20mmまでにおいて切断ストレスの効果が有効であることが分かった.この効果の利用により,毛状根の増殖速度を上昇させ色素生産を増加させることができた. 3.各種色素において目的とする色素配糖体を特異的に加水分解する酵素として,セイヨウアカネ毛状根に含まれるアントラキノン系色素(アリザリンおよびルシジン配糖体)に対し,ア-モンド由来のβ-グルコシダーゼが選択的をアリザリン配糖体に分解することを見出した.長期連続使用における酵素の安定性を検討するとともに,生成物阻害を軽減するため,有機溶媒による生成物の選択的抽出操作を組み込んだ反応系にて酵素変換を試み,最適な反応操作条件を確立した.
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[Publications] Yoshio Hitaka: "Effect of Liquid Flow on Culture of Red Beet Hairy Roots in Single Column Reactor" J.Chem.Eng.Japan. 30(6). 1070-1075 (1997)
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[Publications] Setsuji Tone: "High Density Culture of Hairy Roots with Radial Flow Reactor" Proc.4th International Conference on Bioreactor & Bioprocess Fluid Dynamics. 115-125 (1998)
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[Publications] 日高 由雄: "流れ制御をともなうバイオリアクターにおける毛状根増殖" 化学工学会第63年会講演要旨集. (印刷中). (1998)
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[Publications] Masahiro Kino-oka: "Biotechnology in Agriculture and Forestry" Y.P.S.Bajaj(印刷中), (1998)
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[Publications] "Chemical Engineering Symposium Series 61 Recent Developments in Biochemical Engineering" 化学工学会, 191 (1998)