1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07406012
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松田 松二 信州大学, 農学部, 教授 (70035971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 純 信州大学, 農学部, 助手 (40262696)
佐々木 邦博 信州大学, 農学部, 助教授 (10178642)
星川 和俊 信州大学, 農学部, 助教授 (40115374)
木村 和弘 信州大学, 農学部, 教授 (40021092)
伊藤 精晤 信州大学, 農学部, 教授 (50021085)
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Keywords | 河岸段丘 / 天竜川 / 景観 / 熱収支 / 気温逆転層 / 土地利用 |
Research Abstract |
(1)平成8年は,長野県伊那市の天竜川の河岸段丘及びその周辺地域を対象に、河岸段丘についての住民意識調査、動植物層の生態調査、森林の利用調査、段丘周辺の物理環境の観測等を継続して実施した。 (2)住民意識調査は、伊那市民2000人を対象に、天竜川の河岸段丘の存在、景観の変化、段丘崖の樹林の保全等の項目について、アンケート調査を実施し、901人から回答を得た(回答率45%)。若い年齢層では段丘崖の樹林の消失に対して関心が高く、その保全を求める回答が多かった。一方、段丘の樹林との接し方の相違によって関心の度合いも異なり、殆ど関心を持たない人達の存在も目についた。 (3)河川周辺の底生動物の生息調査を天竜川本川15個所で行った。またサワガニを指標として河川環境の検討を支流の小沢川で行った。 (4)段丘崖とその周辺地域に設置した観測所で、物理環境の測定を継続して行った。また、今年度初めて航空機によってリモートセンシングによる地表温度の測定を行った。 この結果、天竜川河畔部から木曽山脈山麓の比高270mの間では、真夏の最高温度出現時に3.5°Cもの差が認められた。気温低減率は1.3°C/100mとなり、一般的な値0.6°C/100mよりもかなり大きかった。大気の熱力学的検討から、これは気塊が斜面に沿って上昇しながら降温し、さらに水田、畑地等の存在によって冷却されたためと観察された。この結果は天竜川河畔の河岸段立崖に存在する樹林に、熱い空気塊を冷却する効果があることを推察するものであった。 さらに、この地域の晩秋期の早朝には、地域内の温度差は殆どなくなる現象が確認された。これは冷気が段丘下の天竜川河畔に停留し、上部へ溢れださなかったためと考えられた。段丘の大きな段差が、気温逆転層の形成を妨げる器として機能することが推察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 鈴木 純、中山敬一: "高温・少雨条件下の青刈りトウモロコシ畑の土壌水分と蒸発散" 農業気象. 52(3). 233-240 (1996)
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[Publications] Suzuki,J.Nakayama,K.Matsuda,M.: "Determination of Evapotranspiration from A Maize Field under The Drought Condition" J.Agric.Meteorol.52(5). (1997)
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[Publications] 鈴木,青木,宮崎,星川,松田: "中央アルプス山麓域に展開する農業地帯の温度環境(1)-気温と土地利用の関係-" 日本農業気象学会1997年度大会講演要旨. (1997)