Research Abstract |
室内実験として,pHOの5%の硫酸溶液による防食被覆の安定性試験と,二酸化炭素と有機酸による複合劣化試験,及びアルカリ骨材反応の抑制試験を実施した.被覆安定性試験は溶液中に表面処理と被覆厚の異なる供試体を2本づつ入れ,4週おきに外観,重さ,長さ,超音波伝搬速度を測定する.その後,半年,1年で種別ごとに1本を割裂し,中性化深さ,断面pH,三酸化イオウの含有量,電気伝導度,X線回折などを表面からの深さごとに調べる.二酸化炭素と有機酸による複合腐食は,溶存二酸化炭素濃度を4段階設定し,且つ有機酸でpHを6.5に調整した容器に5本づつ供試体を入れ,1週おきに同様の劣化程度を調べた.そして適宜供試体を割裂し,同様な断面調査を行った.アルカリ骨材反応の抑制試験は,各種劣化を受けたコンクリートの断面修復材の開発を目的に,モルタルバ-による促進法を用いて実施した.防食被覆の安定性試験とアル骨抑制試験は,現在継続中であるが、複合劣化試験は終了し,液相部の複合炭酸腐食を補強する劣化機構の解明が完了した. 現場調査は,し尿処理場の汚泥貯留槽で実施した.コンクリート劣化部除去法として2種類の高圧水洗を採用し,表面劣化部を除去後,切取サンプルを採取して,断面pH,電気伝導度,三酸化イオウ含有率,蛍光X線回折などの化学的劣化指標を処理表面からの深さごとに調べた.また,その他の腐食・劣化を受けたサンプルも同様に調べた.その結果,コンクリート劣化部を迅速に判定するために科学的劣化指標のうち蛍光X線回折強度を用いることを提案した.化学的劣化指標には,微生物腐食でSの回折強度が考えられ,複合炭酸腐食でCaCO_3の回折強度とその他の化学的劣化指標の併用が考えられる.コンクリート劣化部の除去方法も,化学的劣化指標により評価され,超高圧水洗処理の優位性が示された.
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