1995 Fiscal Year Annual Research Report
生体情報系における糖タンパク質糖鎖の構造と機能解析:糖タンパク質遺伝子発現と有機合成によるアプローチ
Project/Area Number |
07406016
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 智也 東京大学, 農学部, 教授 (30087572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 中 東京大学, 農学部, 助手 (30270896)
相川 順一 理化学研究所, 研究員 (10260192)
塩田 邦郎 東京大学, 農学部, 助教授 (80196352)
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Keywords | 糖タンパク質 / eCG / N-型糖鎖 / PL-Im / 絨毛性性腺刺激ホルモン / LIF |
Research Abstract |
糖鎖は細胞外の情報伝達に重要な機能を果たしており、糖鎖を介した細胞間情報伝達機構が細胞の反応を惹起しているとも言える。すなわち、細胞の遺伝子の発現調節は、実は遺伝子が間接にしか支配していない糖鎖の手に握られている。糖鎖は遺伝子の鋳型で直接造られていないため、その生合成の調節は、タンパク質合成や核酸合成と比べ、細胞環境に大きく影響を受けることになる。したがって、細胞環境の変化は糖鎖構造の変化を通じて遺伝子に伝えられて、細胞は環境に対して適切に対応できるようになるわけで、細胞の分化や機能調節機構を理解するには糖鎖構造を理解することは必然であると考えられる。 本年度はバキュロウイルス-昆虫細胞を用いた糖タンパク質発現系を完成させ、糖鎖を有する遺伝子組換えPL-Im(rPL-Im)を生産した。rPL-Imはラット肝臓の受容体に結合することが示された。また、ウマ胎盤由来の絨毛性性腺刺激ホルモン(eCG)とヒト卵胞刺激ホルモン(hCG)のcDNAクローニングを行ない、バキュロウイルス-昆虫細胞系と哺乳類細胞による糖タンパク質発現系を用いて組換え糖タンパク質の生産した。これらの糖タンパク質については遺伝子ポイントミューテーション法を用いて糖鎖部分の修飾分子を作成し、その生理的意義を調べた。その結果、eCGの機能はαサブユニットの糖鎖を除去すると黄体形成ホルモン様作用は大きく低下するが卵胞刺激ホルモン様活性は逆に増加することが明らかになった。また、PL-Imも糖鎖付加部位を修飾した場合に生物活性は大きく低下し、機能発現に糖鎖が重要な機能を果たしていることが示された。ラットLeukemia inhibitory factor(rLIF)の組み替え蛋白質生産にも成功した。さらに、NMRおよびマススペクトルメトリーによる糖鎖および糖ペプチド断片の構造解析を行ない、化学合成による再構成のための基礎的データを収集する予定である。また、LIFのポイントミューテーションによる選択的糖鎖付加を制御した糖タンパク質の解析も行なう。
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[Publications] S.Itonori 他: "Glycolipid composition of rat plocenta:changes in glycosphingolipids associated with Ptegnacy stage." Biochem.J.307. 399-405 (1995)
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[Publications] R.Ishimura 他: "Aralysis of rat placental pbsma menbrane proteins by two-dimensiopnal gel electrophoresis." Mol.Cell.Endocrinol.115. 149-159 (1995)
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[Publications] T.Shirai 他: "Ganglioside composition of the rat choriocarciroma cell line,Rcho-1" Glycoconjugate J.(in press). (1995)
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[Publications] H.Mutai 他: "Prolactin receptor mRNA expression in fetal rat brain." J.Reprod.Dev.(in press). (1995)