1996 Fiscal Year Annual Research Report
視神経切断後の外側膝状体における興奮性・抑制性アミノ酸受容体応答の可塑性変化
Project/Area Number |
07407002
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
赤池 紀生 九州大学, 医学部, 教授 (30040182)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 百美 九州大学, 医学部, 助手 (80127985)
原田 伸透 九州大学, 医学部, 助手 (90264043)
鍋倉 淳一 九州大学, 医学部, 助教授 (50237583)
|
Keywords | 外側膝状体ニューロン / 加齢 / 逆行性蛍光トレーサー / 抑制性アミノ酸応答 / 細胞内Cl^-濃度 / 興奮性アミノ酸応答 / マグネシウムブロック / 神経外傷 |
Research Abstract |
以下の3点について検討した。 (1)生後2週齢の仔ラットの大脳皮質視覚野に逆行性蛍光トレーサー(latex beads)を注入し、同定した外側膝状体ニューロンを酵素と機械的パイペッテイング処理により単離した。同ニューロン群にグラミシジン穿孔パッチ記録法を適用して膜電位固定下にGABAで惹起されるGABA_A応答への加齢効果を電流・電圧曲線より得られる平衡電位のシフトより検討し、発達に伴うGABA応答の変化が細胞内Cl^-濃度の生後変化によることを解明した。その結果、生後0〜2日齢、2週齢と6ヶ月齢ラットニューロンの細胞内Cl^-濃度はそれぞれ35mM,22mMと15mMであり、幼若期でのGABA応答は脱分極を惹起し細胞の働きを抑制するより興奮させるものと結論できた。 (2)ラット網膜から発した視神経は視交叉でほぼ全交叉して単シナプス性に外側膝状体を支配し、さらに外側膝状体の神経線維は単シナプス性に大脳皮質視覚領のニューロンに投射する。視神経を切断すると外側膝状体のグルタミン酸受容体やヒスタミン受容体のリガンド結合能が促進されることが知られているが、生理的視野から見た機能的な研究はなされていない。また外側膝状体ニューロンの神経線維を切断するいわゆる神経外傷がニューロンの受容体の性質をどう変えるかも知られていない。今回は本実験を行う予備実験として蛍光組織学的により同定しやすい迷走神経背側運動核ニュートロンを用いて、神経線維切断によるNMDA受容体応答について検討した。その結果、外科的神経外傷を与えると2〜3日以内にNMDA応答のMg^<2+>による阻害が弱くなること、しかし術後1週間後にはMg^<2+>感受性が元に戻ることが明らかとなった。 (3)共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて外側膝状体ニューロンにおけるCa^<2+>シグナルの伝播が細胞内の部位ごとに異なる時間経過をとることが明らかとなった。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Yamasita,Y.: "ATP-induced rise in the apamin-sensitive Ca^<2+> dependent K^+ conductance in adult rat hepatocytes." Am.J.Physiol.33. G307-313 (1996)
-
[Publications] Munakata,M.: "Heterogeneous distribution of benzodiazepine receptors among rat neostriatal neurones." Br.J.Pharmacol.118. 820-825 (1996)
-
[Publications] Nakashima,Y.: "Effects of glucose deprivation on NMDA-induced current and intracellular Ca^<2+> in rat substantia nigra neurons." J.Neurophysiol.75. 740-749 (1996)
-
[Publications] Nabekura,J.: "Alpha 2 adrenoceptor potentiates glycine receptor-mediated taurine response through protein kinase A in rat substantia nigra neurons." J.Neurophysiol.76. 2447-2454 (1996)
-
[Publications] Min,B.I.: "Modulation of glycine-induced chloride current in acutely dissociated rat periaqueductal gray neurons by μ-opioid agonist,DAGO." Brain Res.734. 72-78 (1996)
-
[Publications] Komatsu,H.: "Mutations in a cyclic nucleotide-gated channel lead to abnormal thermosensation and chemosensation in C.elegans." Neuron. 17. 707-718 (1996)
-
[Publications] Xu,T.L.: "Protein kinase C-mediated enhancemennt of glycine response in rat sacral dorsal commissural neurones by serotonin." J.Physiol.(London).