1996 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体によるマグネシウム及び微量元素のヒトにおける必要量の決定
Project/Area Number |
07407012
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
糸川 嘉則 京都大学, 医学研究科, 教授 (80025593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
初田 直樹 京都大学, 医学研究科, 助手 (80283620)
江指 隆年 国立健保, 栄養研究所, 部長 (80191922)
木村 美恵子 京都大学, 医学研究科, 助教授 (60025658)
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Keywords | 亜鉛栄養 / 安定同位体 / 誘導結合プラスマ質量分析法 / 早期交換性亜鉛プール / 血漿亜鉛濃度 / 血漿亜鉛代謝回転速度 / 除脂肪体重 / 亜鉛排泄量 |
Research Abstract |
昨年度は、軽度の亜鉛欠乏状態を把握するため、米国女性を対象に亜鉛安定同位体を用い、血漿亜鉛消失速度定数を測定する方法について検討した。その結果、貯蔵鉄量が低下している場合は亜鉛の栄養状態も悪くなっていること、亜鉛栄養状態を評価するためには、血漿亜鉛より血漿亜鉛消失速度定数の方が優れていることが示唆された。本年度は、代謝活性の高い亜鉛に相当する早期交換亜鉛プールの測定法ならびに体構成との関係を検討した。対象は、米国人男性5名、女性11名で、肘静脈から^<67>Znを投与、その前後に血液を採取、血漿分離したのち処理した。亜鉛同位体比の測定には、誘導結合プラスマ質量分析法を用い、血漿亜鉛濃度の測定にはフレーム原子吸光法、除脂肪体重は生体電気インピーダンス法を用いた。その結果、被験者の血漿亜鉛濃度は正常範囲であり、血漿亜鉛消失曲線は24時間省略モデルで良く説明された。また、早期交換性亜鉛プール、体重、除脂肪体重、24時間尿中クレアチニン排泄量の間に強い相関関係が認められ、早期交換性亜鉛プールと体脂肪量の間の相関関係はこれらに較べて弱かった。血漿亜鉛代謝回転速度は、250-600mg/日であり、亜鉛排泄量(通常10mg/日)に較べ非常に大きく組織による亜鉛取り込み速度にほぼ等しいことが明らかとなった。今後、安定同位体をトレーサーとして用いた代謝実験は、亜鉛以外の微量元素の体内動態の研究にも応用できる可能性が示唆された。
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[Publications] K.Yokoi,M.Kimura: "Application of nonlinear models to estimate zinc requirements of rats." International society for Trace Element Reserch in Human. September. 25-28 (1995)
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[Publications] 横井克彦、安井久晃、木村美恵子、糸川嘉則: "ラット組織中アンギオテンシン変換酵素(ACE)活性に及ぼす亜鉛欠乏の影響" 第50回日本栄養・食糧学会抄録集. 234. (1996)
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[Publications] 横井克彦、木村美恵子、糸川嘉則: "亜鉛安定同位体を用いた人体における交換性亜鉛プールの定量" 第67回日本衛生学会. (1997)
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[Publications] 木村美恵子、中川晋一、張震華: "中国江鮮省における健康調査-中年女性ミネラル摂取状況-" 第67回日本衛生学会. (1997)
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[Publications] 池川雅哉、木村美恵子、糸川嘉則、本多和人、本山秀明、巻田和男、藤井理行: "ICP質量分析計による南極雪中の微量元素分析" 第7回日本微量元素学会抄録集. 34. (1996)
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[Publications] M.Ikegawa,M.Kimura,K.Honda,K.Makita,Y.Fujii,Y.Itokawa: "Springtime peaks of tarce metals in east Antarctic snow." International Symosium on Environmental Reserch in the Antarctic. (1996)
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[Publications] 糸川嘉則: "成人病とビタミン" 学会センター関西, 125 (1996)
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[Publications] 糸川嘉則: "骨粗しょう症" 学会センター関西, 96 (1996)