1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07407017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田代 邦雄 北海道大学, 医学部, 教授 (90002154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇坂 明美 北海道大学, 医学部, 助教授 (90113646)
森若 文雄 北海道大学, 医学部, 助教授 (30142722)
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Keywords | 脊髄小脳変性症 / SCA1 / SCA2 / ジョセフ病 / CAGリピート / triplet repeat病 / 遺伝子異常 / 遺伝子座 |
Research Abstract |
優性遺伝性脊髄小脳変性症は遺伝子異常の異なる複数の疾患が含まれている。遺伝子連鎖解析によりSCA1、SCA2、Machado-Joseph病(MJD)の3疾患については遺伝子座が決定され、さらにSCA1とMJDについては遺伝子翻訳領域のCAGリピート数が異常伸長して発病することが既に明らかにされている。北海道内の罹患家系を対象に検討では、SCA1は北日本に多い疾患であり、創始者効果が認められている。また、MJDは北海道の優性遺伝性脊髄小脳変性症の中では最も頻度の高い疾患であった。MJD遺伝子のCAGリピートには挿入配列がないので、不安定性の分子機構については不明であった。そこで国内多施設間の共同研究を行ったところ、MJD遺伝子のCAGリピート配列において3側のCGG/GGG多型が、CAGリピートの不安定性に関与していることが明らかになった。SCA2は連鎖解析により明らかにされたように、わが国にも存在している疾患である。そこで疾患表現について検討した結果、緩徐眼球運動や腱反射減弱の頻度が高く、若年発症の進行例では舞踏様不随意運動が認められ、稀にパーキンソニズムを呈する場合のあることなどを明らかにした。これらの臨床的特徴はMJDやSCA1とも異なっているので、鑑別診断に際して臨床的な意義がある。SCA2には他のtriplet repeat病と同じく促進現象を伴っているので、類似した遺伝子異常が予想されていた。そこで、遺伝子異常解明のために他施設との共同研究を行った。その結果、SCA2常染色体12q24.1上に位置するataxin-2遺伝子翻訳領域のCAGリピートが異常伸長して発症する疾患であることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Sasaki H, et al: "Cental phenotype and related varieties of spinocerebellar ataxia 2(SCA2)-a clinical and genetic study with a pedigree in the Japanese." J Neurol Sci. 144. 176-181 (1996)
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[Publications] 深沢俊行、ほか: "視力障害、小脳性運動失調症などを繰り返した慢性ブロムワレリル尿素中毒の1例." 臨床神経. 36. 790-792 (1996)
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[Publications] Igarashi S, et al: "Intergenerational instability of the CAG repeat of the gene for Machado-Joseph disease (MJD1) is affected by the genotype of the normal chromosome : implications for the molecular mechanisms of the instability of the CAG repeat." Hum Mol Genet. 5. 923-932 (1996)
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[Publications] Sanpei K, et al: "Identification of the gene for spinocerebellar ataxia type2 (SCA2) using a direct identification of repeat expansion and cloning technique (DIRECT)." Nature Genet. 14. 277-284 (1996)
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[Publications] 佐々木秀直、ほか: "「最新 脳と神科学シリーズ1」-遺伝子異常からみた神経疾患(分担項目: triplet repeat病)" メジカルビュー社、東京, 222 (1996)
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[Publications] 佐々木秀直、ほか: "分子神経病学(分担項目: SCA1, SCA2)" 南江堂、東京, 249 (1996)
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[Publications] 佐々木秀直、ほか: "最新内科学体系68、神経筋疾患4(分担項目:遺伝性オリーブ橋小脳萎縮症)" 中山書店、東京, 346 (1997)
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[Publications] 佐々木秀直、ほか: "最新内科学体系68、神経筋疾患4(分担項目: Joseph病)" 中山書店、東京, 346 (1997)