1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経発達障害仮説にもとづく精神分裂病の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
07407028
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
南光 進一郎 帝京大学, 医学部, 教授 (60101127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
功刀 浩 帝京大学, 医学部, 講師 (40234471)
広瀬 徹也 帝京大学, 医学部, 教授 (10101742)
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Keywords | 精神分裂病 / 神経発達 / 毛様体神経栄養因子 / 遺伝子変異 / 多型 / 脳由来成長因子 / ニューロトロフィン3 |
Research Abstract |
ニューロトロフィン3(NT-3)遺伝子、脳由来成長因子(BDNF)遺伝子、毛様体神経栄養因子(CNTF)遺伝子を候補遺伝子としてとりあげた。いずれも海馬を中心として中枢神経系に広く分布し、神経細胞の生存に関与し、分裂病の神経発達障害仮説の候補遺伝子と考えられる。NT-3遺伝子:プロモーター領域の-1232の位置にAからCの置換(A/-1232/C)を見出した。この頻度を調べるために、健常対照群92名について、PCR産物を制限酵素FokIで切断し検索したところ、Aアリルは88%、Bアリルは12%であった。この変異と分裂病との関連を検討したが、関連は見られなかった。また既に報告されている-1338がCではなく、Gであることを見出した。BDNF遺伝子:Proeschel et al.(1992)にもとづいてプライマーを作成し多型性を示すPCR産物を得たが、そのサイズは報告と異なり210bp前後であった。そこで塩基配列を調べたところ報告されているCAの繰り返し配列の前に、GCの繰り返し配列が挿入されていた。この多型と分裂病との関連は認められなかった。 CNTF遺伝子:すでにnull mutationが報告されているので、この変異と分裂病との関連を検討した。138名の分裂病者と140名の対照について、当該領域を増幅し制限酵素HaeIIIによって切断した。その結果、分裂病群と対照群とにアリルの頻度に差はなかった。次に発症年齢25歳以下と25歳以上に分けた場合と、家族負因の有無で分けた場合で対照群との頻度を比べたが、いずれも差がなかった。したがって、CNTF遺伝子のこの変異が分裂病となんらかの関与をしている可能性は少ないと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hattori,M.and Nanko,S.: "Association of neurotrophin-3 gene variant with severe forms of schizophrenia." Biochem Biophys Res Comm. 209. 513-518 (1995)
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[Publications] Sasaki,T.et al.: "Brain-derived neurotrophic factor gene and schizophrenia in Japanese subjects." American Journal of Medical Genetics. 74. 443-444 (1997)
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[Publications] Sakai,T.et al.: "Schizophrenia and the ciliary neurotrophic factor(CNTF)gene:no evidence for the association." Psychiatry Research. 71. 7-10 (1997)