1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝再生時に働く生体内トリプレットシステム(神経-内分泌-免疫系三者相関)の解明
Project/Area Number |
07407030
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
水戸 廸郎 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60000981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 光裕 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80261410)
紀野 修一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (20234312)
河野 透 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60215192)
加藤 一哉 旭川医科大学, 医学部, 講師 (70175280)
葛西 眞一 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (40091566)
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Keywords | 三者相関システム / サイトカイン / 延髄迷走神経背側核 / 視床下部 / 肝再生 / クッパー細胞 / 6-OHDA / MHCクラス2抗原 |
Research Abstract |
平成7年度の研究経過 1)免疫系から神経系への作用を明らかにする目的で、動物(ラット)の延髄迷走神経背側核および視床下部の肝支配神経細胞群に記録電極を刺入し経時的に神経活動を導出記録し、同部位へ種々のサイトカインを微量注入し、神経活動の経時変化を観察した結果、IL-1、IL-2、IL-6、IFN、TNFに特異的に反応し増強させた。次ぎに無拘束、無麻酔下の状態で、慢性動物用埋め込み持続注入ポンプから延髄迷走神経背側核および視床下部の肝支配神経細胞群に種々のサイトカインを連続微量注入し、再生肝における核酸代謝の変化を免疫組織化学とフローサイトメトリーにて観察した結果、残存肝における核酸代謝が促進された。 2)神経系から免疫系への作用を明らかにする目的で、肝臓内の神経を6-OHDA等を利用して化学的除神経にした動物および機械的に除神経した動物を作成し、40%、70%肝切除による残存肝のクッパー細胞のMHCクラス2抗原発現および活性化マクロファージを免疫組織化学的に比較検討した結果、除神経ラット肝部分切除群において残存肝内クッパー細胞の活性化は有意に低下した。 神経-内分泌-免疫系のそれぞれの系の相関はいずれも重要であるが、現在特に注目されているのは神経系と免疫系の連関であると思われる。サイトカインであるインターフェロンが肝炎の治療に臨床応用されるにつれその副作用としての中枢神経作用が注入されるきっかけとなったが、今回の実験結果から肝切後、肝障害後の肝再生においてサイトカインと神経系がリンクしている可能性が示唆できた。さらに、神経系によって免疫系の機能が変化する可能性が示唆できたことは、従来の免疫反応にたいする概念を大きく変える可能性があり、さらに発展して神経-内分泌-免疫系三者相関システムの解明へとつながれば、肝再生現象だけでなく、癌を含めた種々の病態の解明や新しい治療法の開発の糸口になると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shin-ichi Kasai,: "Inducible nitric oxide synthase (iNOS) like immuno-reactivity in the hepatocytes from various liver diseases" Endothelium. 3. S56 (1995)
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[Publications] 水戸廸郎: "肝細胞再生機転研究のあゆみ" 肝胆膵. 30(1). 141-157 (1995)