1995 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血からの中枢神経機能回復における組織・細胞環境とグリアの役割
Project/Area Number |
07407043
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤原 直士 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70181419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柾木 永 新潟大学, 医学部, 助手 (40272819)
渡辺 逸平 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (00251819)
羽紫 正夫 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (30108047)
佐藤 一範 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (70126415)
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Keywords | 脳虚血 / 海馬切片 / 細胞内遊離カルシウム / 細胞内pH / グルタミン酸遊離 / NMDA受容体 |
Research Abstract |
本年度は以下のin vitroでの検索を中心に研究を進めた。 (1)脳虚血による中枢神経細胞障害におよぼす温度、酸塩基の影響をラットおよびスナネズミ海馬切片を用いたin vitroの実験から検索した。海馬切片に対する低酸素・無グリコースの負荷は急峻な細胞内遊離Ca^<2+>上昇と膜電位の脱分極を引き起こし、膜の不可逆的変性を招くとされている。この急峻な細胞内遊離Ca^<2+>上昇と脱分極は軽度の酸性灌流液(pH6.8-7.0)によって、その発生が遅延し、進行も緩除となった。この原因として、酸性化状態での細胞機能低下によるエネルギー消費の抑制、Ca^<2+>influxの抑制によって膜機能の変化が遅延したものと考えられる。 (2)虚血時にシナプスから放出されたグルタミン酸が細胞内遊離Ca^<2+>上昇を引き起こすとされるが、海馬切片における細胞内遊離Ca^<2+>とグルタミン酸の同時測定では、低酸素・無グルコースの負荷による細胞内遊離Ca^<2+>の急峻な上昇に先立つ有意なグルタミン酸遊離は認められず、むしろ、細胞内遊離Ca^<2+>の急峻な上昇後にグルタミン酸の過剰な遊離が認められた。このことは、虚血による細胞内遊離Ca^<2+>上昇が過剰なグルタミン放出の原因となることを示唆する。 (3)細胞外グルタミン酸による細胞内酸性化の神経細胞傷害への関与が示唆されることから、グルタミン酸受容体、特に、NMDA受容体を介する細胞内pH変化を海馬切片を用いて検索した。NMDAを海馬切片に適用すると、初め一過性に細胞内pHが上昇し、ついで、持続的に酸性化してから徐々に回復した。灌流液中Ca^<2+>を除去するとNMDAによる初期のアルカリ化は消失し、酸性化はわずかに抑制されるのみであったが、さらに、灌流液中のグルコースを除去したり、解糖系の阻害薬を添加すると、酸性化も強く抑制された。これらの結果より、細胞内のアルカリ化には外液Ca^<2+>の流入が関与すること、また、酸性化には解糖系亢進が関することが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 藤原直士: "軽度アシドーシスは低酸素・無グルコースによる海馬ニューロンの障害を抑制する" Brain Hypoxia. 9. 63-67 (1995)
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[Publications] 津久井淳: "重篤な循環・呼吸不全から完全回復した心停止の既往を有する2症例" 麻酔. 44. 1128-1130 (1995)
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[Publications] A Warashima: "Properties of intracellular calcium stores and their role in receptor,medated Calechelamin Secretion in rat adrend chromottin cells" Biological Signals. 4. 195-205 (1995)