1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07407047
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今野 昭義 千葉大学, 医学部, 教授 (70009497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遊座 潤 千葉大学, 医学部, 助手 (40261929)
野本 実 千葉大学, 医学部, 助手 (70237890)
花沢 豊行 千葉大学, 医学部, 助手 (90272327)
永田 博史 千葉大学, 医学部, 助手 (20237530)
寺田 修久 千葉大学, 医学部, 助手 (70197797)
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Keywords | アレルギー / 鼻粘膜過敏性 / non-adrenergic,non-cholinergic(NANC)神経 / 化学伝達物質 / サイトカイン / ヒスタミンレセプター / コラーゲン / 鼻粘膜知覚 |
Research Abstract |
1.鼻粘膜の知覚受容と中枢投射に関する研究 1)鼻粘膜への知覚刺激は延髄の三叉神経脊髄路核で中継され、A5.non-adrenergic cell group,青斑核、parabrachial nucleus、中脳中心灰白質などへ伝達されている可能性が示唆された。これらの部位からは上唾液核、脊髄中間外側核への投射が証明されており、上気道防御反射への深い関与が考えれた。2)上唾液核ニューロンの機能は種々のアミノ酸、アミン、神経ペプチドによって調節されていることが形態学的に証明された。3)鼻粘膜知覚を求心性入力とする副交感神経反射と、くしゃみ発作時のVidian神経活動の動員を電気生理学的に証明した。 2.鼻粘膜血管反応におけるnon-adrenergic,non-cholinergic(NANC)神経系および化学伝達物質の役割に関する研究 モルモット鼻粘膜のbioassay法により鼻粘膜血管反応におけるNANC神経伝達物質は、CGRP>SP>VIP>>Achの順で強い弛緩反応を示し、それぞれの血管弛緩反応はMO系を介さないことを確認した。一方、NANC状態の鼻粘膜をフィールド電気刺激した際に出現する鼻粘膜血管弛緩反応は、NO合成酵素阻害薬によりほぼ完全に抑制されることから、鼻粘膜においてもNO作動性神経が存在し、血管拡張反応に関与していることが確認できた。また、化学伝達物質であるヒスタミン、ロイコトリエンD4およびブラジキニンによる鼻粘膜血管拡張反応にも血管内皮が関与していることが確認できた。 3.鼻粘膜における好酸球浸潤、活性化機序とその制御 1)血管内皮細胞と好酸球との接着機構とこれに対するヒスタミンの作用 ヒト鼻粘膜から分離した血管内皮細胞をヒスタミンで刺激すると好酸球に対する接着能は増加した。抗ELAM-1抗体の前処置により、ヒスタミンによる接着能亢進作用はほぼ完全に抑制された。ヒスタミンは、血管への接着の初期段階で重要なELAM-1やP-selectinの発現を増強させ好酸球の浸潤を助長させている可能性が示唆された。 2)上皮細胞および血管内皮細胞からのサイトカイン産生と好酸球による影響 好酸球extractは上皮細胞からのRANTES遊離を促進した。上皮細胞を好酸球との共存下で刺激するとIMF-γとTNF-αのcostimulationによるRANTES遊離は好酸球数依存的に抑制された。RANTES産生抑制には好酸球接着という条件が必要であり、共存下でも非接着時にはRANTES産生抑制は観察されなかった。好酸球は上皮細胞からのRANTES産生を促し、好酸球浸潤をさらに助長するが、上皮細胞に接着した後はRANTES遊離を抑制するシグナル伝達をおこないこれ以上の好酸球浸潤を抑制するものと思われる。 4.鼻粘膜上皮細胞および血管内皮細胞におけるヒスタミンレセプターmRNAの発現とこれに対するサイトカインおよび化学伝達物質の作用 鼻アレルギー症例における鼻粘膜擦過片H1レセプター(H1R)mRNAの発現量は正常人と比較して有意に増加していた。また、培養上皮細胞での検討でも、鼻アレルギー症例から分離した上皮細胞は慢性副鼻腔炎症例と比較してH1RmRNA発現量の増加が観察された。一方、血管内皮細胞では量群間に発現量に差がみられなかった。サイトカイン刺激では上皮細胞、血管内皮細胞いずれも発現量に変化がなかった。TxA2により上皮細胞のH1RmRNA発現量は増加した。鼻アレルギー症例にみられる鼻粘膜過敏性の一因として、上皮細胞を含む上皮層におけるH1RmRNA発現量の増加が関与している可能性がある。 5.鼻アレルギー鼻粘膜における各種コラーゲン分布の特徴 鼻粘膜全体のコラーゲン含有量は、鼻アレルギー、アレルギーで有意な差はなかった。アレルギー鼻粘膜において上皮直下の、いわゆるcollagenous bandの有意な肥厚を認めた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Konno,A.,Nagata,H.,Nomoto,M: "Role of capsaicin-sensitive trigeminal nerves in development of hyperreactive nasal symptoms in guinea pig model of nasal allergy." Annals Otol.Rhinol.& Laryngol.104. 730-735 (1995)
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[Publications] Nemoto T,Konno A,Chiba T: "Synaptic contact of neuropeptide-and amine-containing axons on parasympathetic preganglionic neurons on the superior salivery nucleus of the rat." Brain Reserch. 685. 33-45 (1995)
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[Publications] 今野昭義、寺田修久、花沢豊行.: "アレルギー性鼻炎の発症機序とその対応" 3733. 14-21 (1995)
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[Publications] 今野昭義、寺田修久、山越隆行、他.: "鼻粘膜過敏性の成立機序" アレルギーの臨床. 3. 19-29 (1996)
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[Publications] Terada,N.,Konno,A.,Fukuda,S.et al.: Int.Arch.Allergy and Immunol.106. 139-145 (1995)
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[Publications] Terada,N.,Konno,A.,Terada,Y.et al.: "IL-4 upregulates Fc ε R1 α chain messenger RNA in eosinophils." J.Allergy Clin.Immunol.95. 1161-1169 (1995)
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[Publications] 今野昭義、寺田修久、花沢豊行: "鼻アレルギーと女性ホルモン.気道アレルギー95-気管支喘息とアレルギー性鼻炎." メディカルレビュー社, 137-146 (1995)
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[Publications] 寺田修久、山越隆行,谷川博一,他: "鼻アレルギーの病態解明における鼻腔洗浄の意義.気道アレルギー95-気管支喘息とアレルギー性鼻炎" メディカルレビュー社, 80-88 (1995)