1997 Fiscal Year Annual Research Report
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07407047
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今野 昭義 千葉大学, 医学部, 教授 (70009497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 勉 千葉大学, 医学部, 講師 (60189355)
花沢 豊行 千葉大学, 医学部, 助手 (90272327)
永田 博史 千葉大学, 医学部, 講師 (20237530)
寺田 修久 千葉大学, 医学部, 講師 (70197797)
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Keywords | 鼻アレルギー / 血管運動性鼻炎 / 好酸球活性化 / 鼻粘膜過敏症 / 交感神経 / 副交感神経 / 化学伝達物質 / 素因 |
Research Abstract |
1.鼻粘膜における好酸球浸潤、活性化の機序 1)血管内皮細胞の好酸球接着能に対するヒスタミンの作用 ヒスタミン刺激18時間において、10^<-5>以上の濃度で接着能の亢進が観察された。抗ICAM-1、抗VCAM-1、抗体の前処置は、ヒスタミンによる好酸球接着能に有意の変化を与えなかったが、抗ELAM-1抗体の前処置により、ヒスタミンによる接着能亢進作用ほぼ完全に抑制された。血管内皮細胞間隙通過にはヒスタミンは影響を与えなかった。 2)抗細胞接着分子抗体を用いたアレルギー性炎症の制御 抗VLA-4モノクローナ抗体を用いることにより、抗原誘発後に生じる鼻粘膜好酸球浸潤、ロイコトリエン産生、さらには好酸球の活性化が抑制された。 2.血管運動性鼻炎にみられる鼻粘膜過敏症の神経機序 下股を13°Cの冷水に5分間浸し、その後の15分間の鼻粘膜容積血管反応を正常者、鼻アレルギー、血管運動性鼻炎で比較した。acoustic rhinometerで測定した鼻腔容積の経時的変化のパターンは7群に分類され、それぞれのタイプの出現頻度には3群間で明らかな違いが見られた。I、II,III型では寒冷負荷直後の刺激に対する鼻腔容積血管の交感神経反応のために鼻粘膜収縮がみられ、IV、V、VI型ではこの交感神経反応は抑制され、副交感反応による鼻粘膜膨張が強くみられた。またVI型は以上のいずれにも分類されないタイプである。正常者では15名のうち14名が、I、II、III型のいずれかを示し、15名中12名では経過中に副交感神経系の興奮による鼻粘膜腫脹はみられなかった。一方、血管運動性鼻炎では交感神経反応が主体となるI、IIはみられず、全例で鼻粘膜腫脹を主とする副交感神経反応が強調された。鼻アレルギーは血管運動性鼻炎と正常者の中間の反応を示した。血管運動性鼻炎では体表寒冷刺激時にみられる交感神経中枢興奮による鼻粘膜容積血管収縮は有意に抑制され、逆に副交感神経中枢の興奮による鼻粘膜腫脹がみられるが、鼻粘膜容積血管反応の異常が鼻粘膜血管系の自律神経受容体レベルにあるのか、または鼻粘膜を支配する自律神経中枢レベルにあるのかは不明である。 3.鼻粘膜過敏症の亢進機序と素因 双生児のいずれかが鼻過敏症状を持つ一卵性双生児の家族を対象として、ヒスタミンに対する鼻粘膜反応の用量反応曲線を検討した。閾値上刺激に対する鼻粘膜の反応をみると鼻粘膜過敏症には閾値の検討だけでは見逃される素因が関与している可能性がある。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Konno A: "Comparative role of pepticle leukotriene and histaming in the development of nasal mucosal swelling in nasal allegy" Annals Otol Rlinol & Laryngol. 107. (印刷中) (1998)
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[Publications] 今野昭義: "鼻粘膜におけるアレルギーと神経との相互作用" アレルギー科. 5. 50-60 (1998)
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[Publications] 今野昭義: "鼻粘膜過敏症性の新しい考え方" JOHNS. 14. 1103-1110 (1998)
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[Publications] 今野昭義: "アレルギーと知覚過敏" アレルギーの領域. 5. 260-267 (1998)
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[Publications] Terada N: "Eosinophil adhesicu regulates RANTES production in nasal epithelial cells." J Immunol. 158. 5464-5470 (1997)
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[Publications] Terada N: "The potential role of IL-13 in eosinophilic inflammation in nasal mucosa." Allergy. (印刷中). (1998)
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[Publications] 今野昭義: "鼻アレルギーの病態研究と治療の最新知見、最新内科学大系、プログレスシリーズ、免疫アレルギー疾患" 中山書店, 16 (1997)
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[Publications] 今野昭義: "アレルギーと女性ホルモン、第14回免疫薬物療法研究会記録集" 日本アクセル・シュプリンガー出版, 15 (1997)