1997 Fiscal Year Annual Research Report
有害化学物の定量的連続測定法を用いた個人曝露評価と生体影響に関する研究
Project/Area Number |
07407070
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
甲田 茂樹 高知医科大学, 医学部, 助教授 (50205332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 誠 高知医科大学, 医学部, 助手 (90253351)
安田 誠史 高知医科大学, 医学部, 助手 (30240899)
大原 啓志 高知医科大学, 医学部, 教授 (00033209)
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Keywords | 有害化学物質 / 医療労働者 / 曝露評価 / 連続的定量測定 / ホルムアルデヒド / エチレンオキサイド / 麻酔ガス / 換気システム |
Research Abstract |
医療現場には健康に影響を与える化学的要因が多数存在するが、わが国の労働安全衛生法体系では規制・管理の対象外の化学物質が多い。WHOのIARCや米国のACGIHは、これら化学物質の急性・慢性毒性を警告し、曝露に伴う健康障害を防ぐために、許容濃度を提案している。その中でも、笑気やエチレンオキサイド、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドは、急性影響を考慮した短時間の個人曝露を評価することが困難であるとされてきた。本研究では、医療現場の化学物質を対象に定量的連続測定法を開発し、気中濃度の環境モニタリングを実施し、個人曝露評価とそれに伴う生体影響について検討を行った。 手術室で用いられれる笑気ガスやイソフルレンの環境モニタリングの結果、手術場の換気回数や作動状態によって個人曝露量が大きく変動し、許容濃度を下回るためには、適切な作業環境管理の重要性が示唆された。エチレンオキサイドについては、現在の使用状況では慢性の健康影響の発症が懸念され、さらに、作業内容によっては短時間高濃度曝露に伴う健康障害発症の危険性が存在していた。ホルムアルデヒドやグルタルアルデヒドは機材や器具などの滅菌・消毒を目的として医療現場で広範囲に使用されているが、環境モニタリングの結果、天井値としての許容濃度を遥かに上回る作業内容のかなりあることが観察された。また、皮膚炎や慢性気管支炎など、これらの化学物質への急性曝露に伴う健康障害事例も確認できた。長期間曝露だけでなく、短時間高濃度曝露に伴う健康障害を有する化学物質の測定評価にあたっては、今回開発した定量的連続測定法は貴重な情報を与えてくれ、健康障害を防止するための予防対策の実施や再評価にあたっても有用であることが確認できた。最終的には、これらの結果をもとに医療現場における健康障害の予防のための作業環境管理と作業管理のあり方や進め方に関する提言をまとめた。
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Research Products
(2 results)