1996 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息難治化に関与する気道上皮、T細胞、肥満細胞、好酸球間ネットワークの研究
Project/Area Number |
07407072
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 幸治 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (10008310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 俊輔 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10171018)
滝沢 始 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80171578)
須甲 松信 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80107622)
奥平 博一 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30106645)
森田 寛 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60107620)
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Keywords | 気管支喘息 / 気道上皮 / T細胞 / 肥満細胞 / 好酸球 / サイトカインネットワーク / 組織修復 / 組織改変 |
Research Abstract |
気管支喘息は広範な気道閉塞とともに持続する気道炎症とそれに伴う気道の反応性亢進を特徴とする慢性気道疾患である。その病理学的特徴は、リンパ球、肥満細胞、好酸球などの多くの炎症細胞が粘膜下、および内に多数浸潤していること、さらにこれらが気道粘膜上皮の損傷に深く関与していることである。まず、これら炎症性細胞の局所動員には、気道上皮細胞由来のフィブロネクチン、IL-8,RANTESなどが重要であることを示した。また、気道上皮はIL-6やGM-CSFさらにエンドセリンを産生し、リンパ球、好酸球の活性化や気管支平滑筋のトーヌスに影響を与えることを示した。気道上皮と好酸球との接着過程が種々のサイトカインや接着分子で制御されており、またこうした過程自体が好酸球や上皮細胞の機能にも多彩な影響を与えることも明かとした。この過程は喘息の新たな治療ターゲットとしても注目され、副腎皮質ステロイドやテオフィリンが抑制を示した。気道上皮の傷害と引き続く修復には上皮由来さらに線維芽細胞、マクロファージ由来の成長因子が重要であること、これらがオートクリン、パラクリン機構を介して、刺激性、抑制性に働いているいることを示した。TGFβは気道上皮、好酸球両者から産生され、協力な上皮の増殖抑制因子であるのみならず、線維芽細胞増殖因子であり、いわゆる気道のリモデリング(改変)に重要な意義をもつと考えられた。気管支喘息のよりよい管理と治療は21世紀の医療における重要な課題のひとつであり、本研究で得られた成果はこれらの社会的、経済的側面の含めた要請に生かされうるものと思われる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Ito,K.: "Treatment of acute bronchial asthma attack" Asian Med.J.39(5). 227-238 (1996)
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[Publications] Kitani,S.,Teshima,R.,Nonomura,Y.,Morita,Y.,Ito,K.: "The effect of okadaic acid on histamine release,cell morphology,phosphorylation in rat basophilic leukemia(RBL-2H3)cells,human basophils and rat peritoneal mast cells" Int.Arch.Allergy Immunol.110. 339-347 (1996)
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[Publications] mori,A.,Suko,M.,Kaminuma,O.,Inove,S.,Ohmura,T.,ishizaki,Y.,Nagahori,T.,Asakura,Y.,Hoshino,A.,Okumura,I.,Sato,G.,Ito,K.,Okudaira,H.: "IL-15 promotes cytokine production of human Thelper cells" J.Immunol.156. 2400-2405 (1996)
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[Publications] Takafuji,S.,Ohtoshi,T.,Takizawa,H.,Tadokoro,K.,Ito,K.: "Eosinophil degranulation in thepresence of bronchial epithelial cells effect of cytokines and role of adhesion" J.Immunol.156. 3980-3985 (1996)
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[Publications] Takizawa,H.,Ohtoshi,T.,Yamashita,N.,Oka,T.,Ito,K.: "Interleukin-6 receptor expression in human bronchial epithelial cells" Am.J.Physiol^<270>(Lung cell.Mol.Physiol.14). 270. L346-352 (1996)
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[Publications] Sato,M.,Takizawa,H.,Kohyama,T.,Ohtoshi,T.,Takafuji,S.,Kawasaki,S.,Tohma,S.,Ishii,A.,Shoji,S.,Ito.K.: "Eosinophil adhesion to human bronchial epithelial cells:regulation by cytokines" Int.Arch.Allergy Immunol,1997. (in press). (1997)
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[Publications] 滝沢 始: "気道上皮細胞に対する作用-サイトカイン産生、炎症・免疫とマクロライドVp to Date(清水喜八郎他編)" 医薬ジャーナル社, 4 (1996)
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[Publications] 滝沢 始: "気道上皮細胞の傷害と修復;成長因子・サイトカインの役割について(宮本昭正編)" Asthma-an inflammatory disease.Excerpta Medica, 10 (1996)