1997 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬の肺血管に及ぼす影響とその機序に関する研究
Project/Area Number |
07407077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
行岡 秀和 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (80117986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 正則 大阪市立大学, 医学部, 助手 (90254416)
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Keywords | イソフルラン / 肺循環 / シクロオキシゲナーゼ阻害薬 / NO合成酵素阻害薬 / 肺高血圧 |
Research Abstract |
【方法】ペントバルビタール麻酔犬の左肺下葉(LLL)を、別の犬(ドナー犬)の肺静脈血を用いて一定流量で灌流した。シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるイブプロフェン(IBU)12.5mg/kgを前処理後、U46619(thromboxane analog)により平均LLL肺動脈圧(PAP_<LLL>)を約25mmHgに増加させた。この状態でIso(1.2%)をLLL、ドナー犬に同時吸入し、PAP_<LLL>の変化を観察した(IBU-PH群)。さらに、IBU前処置下にL-NNA(NO合成酸素阻害薬)30mg/kgを前処置後、U46619による肺高血圧状態下で、IsoによるPAP_<LLL>の変化を観察した(IBU+L-NNA-PH群)。また、正常肺動脈圧状態において同様の実験を施行した(IBU群、IBU+L-NNA群)。統計学的解析にはANOVAおよびScheffeを用いた。 【結果】IBU群およびIBU-PH群において、1.2%IsoによりPAP_<LLL>はそれぞれ、19.3±1.2から22.0±1.0mmHg、24.1±2.4から28.8±2.7mmHgに有意に増加した。IBU+L-NNA群、IBU+L-NNA-PH群では、1.2%IsoによりPAP_<LLL>は変化しなかった。 【考察】IsoはIBU前処置下で肺血管収縮作用を有し、この作用はさらなるL-NNAの前処置により消失した。この反応は肺血管toneには影響されなかった。平成8年度の本研究において、IsoがL-NNA前処置下で肺血管拡張作用を有することを報告したが、これらの結果は、IsoがNO抑制による肺欠陥収縮作用と、血管拡張性プロスタグランディン(PG)による血管拡張作用を有することを示唆する。 【まとめ】Isoによる肺血管反応はNO抑制による収縮反応と血管拡張性PGにより調節される。
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