1995 Fiscal Year Annual Research Report
諏訪湖の結氷・御神渡記録と湖底堆積物による歴史時代の気候復元
Project/Area Number |
07408001
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
三上 岳彦 東京都立大学, 理学部, 教授 (10114662)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 稔 山梨大学, 教育学部, 教授 (40020375)
河村 公隆 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70201449)
福沢 仁之 東京都立大学, 理学部, 助教授 (80208933)
|
Keywords | 諏訪湖 / 気候変動 / 小氷期 / 有機炭素 |
Research Abstract |
諏訪湖の結氷・御神渡記録データを収集・整理して、データベース化し、A.D.1500年以降約500年間の変動傾向・周期性などについて分析した.その結果、16世紀前半〜中頃と19世紀後半に温暖期の存在することが明らかになった。前者の温暖期については、結氷記録に問題点も指摘されているため、湖底堆積物の分析結果との関連が重要になる。 1995年9月に、諏訪湖北部でピストンコアラーを用いて約2メートルの柱状堆積物を採取し、各種化学分析を行った。一般に、プランクトン生産量は水温、降水量、流入砕屑物量などによって左右されるため、諏訪湖の柱状堆積物に認められる珪藻殻の増減も気候変動を反映している可能性がある.以下、前述した時間面を用いて、珪藻殻量、有機炭素量および炭素/窒素比率について時系列変動を検討した.珪藻殻量は16世紀末から19世紀にかけて少なく、「小氷期」寒冷期を指示している可能性がある.一方、有機炭素量は珪藻も含めた植物プランクトンの繁殖量をも示し、気候変動と関係も指摘されている.元素分析結果による炭素/窒素比率によれば、ほぼ10.5〜13前後を示し、陸上起源とプランクトン起源の有機物寄与は柱状堆積物を通じてほぼ同じ比率であったと考えられる.したがって、有機炭素量の変動は気候変動を示している可能性が大きい.観測データから、1780年前後や1900年前後は寒冷な時期で、1868年前後や1940年以降は温暖な時期であることが知られているが、前2者の有機炭素量は少なく、後2者の炭素量は多く、観測データ結果と柱状堆積物の結果は一致する.また、16世紀前半から中期にかけて、御神渡ができなかった「明海」の卓越時期に相当するが、この時期の有機炭素量もまたその前後の時期に比べて多くなっている.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] MIKAMI,Takehiko: "Long term variations of summer temperatures in Tokyo since 1721" Geographical Reports of Tokyo Metropolitan University. 30. 157-165 (1996)
-
[Publications] 福沢仁之: "天然の「時計」・「環境変動検出計」としての湖沼の年縞堆積物" 第四紀研究. 34. 135-149 (1995)