1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07408029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 泰彦 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (50211371)
岩田 博夫 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (30160120)
富田 直秀 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (50263140)
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Keywords | 圧電性 / 分解吸収性高分子 / ポリL-乳酸 / 磁場 / 骨形成 / 吸収速度 |
Research Abstract |
本年度においては、圧電性の本質をよりよく知るためにそれに付随した磁場の骨形成に対する影響を調べるとともに、ポリ乳酸系材料の吸収性に関しても検討した。まず、磁場の影響に関してはラットを実験動物に用い、その大腿骨に磁化した金属を埋込み、骨生成量を測定した。その比較として同じサイズの未磁化金属も埋込んだ。その結果、その差は大きくはないが、有意に磁化金属のほうが未磁化金属よりも骨形成を促進した。しかし、有意な差を得るためには、ラットの埋込み部位、埋込み方法、骨量の測定法などにいろいろと改良を加える必要があった。このように、ラットでは有意に磁場の促進効果が認められたが、小動物ではヒトとの隔たりが大きすぎるため、次にイヌを用いて同じような埋込み実験を行う予定であり、その練習実験を行っている。 すでに延伸したポリL-乳酸の圧電性が骨形成に有効に働くことがわかったため、次にその臨床応用の一つとして延伸ポリL-乳酸から繊維を紡糸し、それから紐状体を作成し、それの骨折固定材としての応用を考えている。この紐状体の圧電特性の測定は困難なため、その定量的研究は進めにくい。 ポリL-乳酸は生体吸収性という大きな特徴をもっているが、その力学的性質と吸収性との関係、共重合によるそれらの特性の変化、光学活性度の影響、などがまだ詳しくは調べられていない。そこで、本年度においては、ポリ乳酸系材料の材料科学的研究も行った。その結果、ポリ乳酸は、他の吸収性ポリエステルとのブレンドおよび他のラクチド系モノマーとの共重合によっても、その吸収速度と力学強度が大きく変化することが明らかとなった。しかし、力学強度を高めようとすれば分解が遅くなってしまい、分解を速めようとすれば、整形外科用材料としての強度が不足するという結果であった。
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[Publications] H.Tsuji.: "Crystallization from the Melt of Poly (lactide) s with Different Optical Purities and Their Blends" Macromol.Chem.Phys.197. 3483-3499 (1996)
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[Publications] 玄丞烋: "ラクチド-ε-カプロラクトン共重合体エラストマーの合成とその物性" 生体材料. 14・5. 216-223 (1996)
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[Publications] H.Tsuji: "Blends of Aliphatic Polyesters.I.Physical Properties and Morphologies of Solution-Cast Blends from Poly (DL-lactide) and Poly (ε-caprolactone)" J.Appl.Polym.Sci.60. 2367-2375 (1996)
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[Publications] 筏義人: "整形外科用高分子材料の問題点と最近の進歩" 日本整形外科学会雑誌. 70・1. 28-39 (1996)