1995 Fiscal Year Annual Research Report
円二色性スペクトル法の理論的展開と生物有機科学への応用
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07408032
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 宣之 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (30006324)
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Keywords | 円二色性スペクトル / 励起子キラリティー法 / 絶対立体化学 / ねじれたパイ電子系 / カンファーサルタム法 / 結晶化不斉認識 / キラルフタル酸アミド法 / 鎖状1,2-グリュコール |
Research Abstract |
有機化合物の絶対構造を非経験的に決定する方法として、円二色性(CD)スペクトル法が有用である。我々は発色団間の励起子相互作用円二色性を利用した「CD励起子キラリティー法」を開発確立し、またその後「ねじれたパイ電子共役系」の絶対構造決定にパイ電子SCF-CI-DV分子軌道法によるCDスペクトルの理論計算が非常に有用であることを見いだし、天然物の絶対構造決定に応用している。本研究では分子の立体配座を分子力場と分子軌道法によって計算し、NMR測定などによって実験的に決定し、その結果のうえにCDスペクトルの理論計算を展開して、生物活性天然有機化合物および合成有機化合物の絶対立体化学を決定するものである。また、X線結晶解析によっても絶対立体化学を確立する。 1.円二色性スペクトルの理論計算と絶対立体化学の決定。 ナフタレン発色団を2個分子内にもつ籠型分子の立体配座と円二色性スペクトルを理論的に計算し、絶対立体化学を決定した。 2.光学分割とX線絶対配置決定に有用なカンファーサルム法の開発と応用。 カンファーサルム法を天然物合成中間体に適用し、光学分割とX線による絶対配置を決定できた。 また、シクロファン系にも適用し、絶対立体化学を決定できた。 3.不斉結晶場を用いたモノテルペン類の光学分割とX線結晶解析による不斉認識機構の解明。 キラルホストとの結晶化における不斉認識によりVerbenoneなどの光学分割を初めて達成した。 また、X線結晶解析により不斉認識の機構を明かにした。 4.キラルフタル酸アミド法の開発とアルコール類への適用。 各種アルコールの光学分割と絶対配置決定に有用なキラルフタル酸アミド法を開発し、種々のアルコール類に適用できることを明かにした。 5.CD励起キラリティー法による鎖状1,2-グリコール類の絶対配置決定。 鎖状1,2-ジベンジュード系にCD励起子法とNMR法を適用し、絶対立体化学を決定できることを明かにした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] N.Harada: "Circular Dichroism Power of Chiral Bridged Aromatic Compounds 7,8,15,16-Tetrahydro-7,15-methanocycloocta-[1,2-a:5,6-a']dinaphthalene Derivatives." Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas. 114. 157-162 (1995)
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[Publications] N.Harada(H.Hagiwara): "Double Michael Reaction of Wieland-Miescher Ketone." Tetrahedron. 51. 9891-9898 (1995)
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[Publications] N.Harada: "Synthesis and Absolute Stereochemistry of (+)-Adociaquinones A and B." Tetrahedron:Asymmetry. 6. 375-376 (1995)
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[Publications] N.Harada(T.Hattori): "1,12-Dioxa[12](1,4)naphthalenophane-14-carboxylic Acid:Practical Synthesis,Resolution and Absolute Configuration of the Enantiomers." Tetrahedron:Asymmetry. 6. 1043-1046 (1995)
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[Publications] N.Harada(F.Toda): "Enantiomer Resolution by Crystallization with Chiral Hosts:Application to Monoterpenes,Verbenone and Apoverbenone." Tetrahedron:Asymmetry. 6. 1495-1498 (1995)
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[Publications] N.Harada: "Chiral Phthalic Acid Amide,a Chiral Auxiliary Useful for Enantiomer Resolution and X-Ray Crystallographic Determination of the Absolute Stereochemistry of Alcohols." Enantiomer. 1(in press). (1996)
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[Publications] N.Harada: "Studies in Natural Products Chemistry Vol.17" Elsevier Science Publishers,Amsterdam, 40 (1995)
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[Publications] 原田宣之: "日本分析化学会編「機器分析ガイドブック」円二色性と旋光性" 丸善(印刷中), (1996)