1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07451017
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
牧野 順四郎 筑波大学, 心理学系, 教授 (60015443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 克紀 筑波大学, 心理学系, 講師 (50261764)
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Keywords | 近交系マウス / 行動型(パターン) / 学習 |
Research Abstract |
平成9年度の主研究目的は「観察法において使用される行動項目の標準化」であった。これは平成7年度から出発した本研究を通じた主目的の一つでもあった。種々の実験場面においてマウスの行動をビデオに納め、典型的行動パターンの確定とその映像のデータベースを作る作業が随時行われてきたが、これは予想したよりも困難な作業で、依然として完成をみていない。しかし、典型的な行動パターンを数秒-数十秒にわたって動画記録し、それをデータベース化することの意義は、いかに困難にせよ、極めて大きいものである。云うまでもなく、この作業は続行されている。 本研究の別の主目的は、個体が遺伝的にもつ諸自発活動の差異が学習課題遂行時にどのように変容するかであったが、平成9年度も近交系マウスを中心に逃避・回避学習場面において引き続き検討された。結果は予想したよりも複雑で、自発活動の遺伝的差異が単純に学習遂行に反映されるのではなく、その差異は学習初期の行動変容パターンに反映されるものの、学習後半に至ると強化が遺伝的差異を上回る影響を及ぼすことが示された。学習とは、(1)自発活動の遺伝的差異を越えて、個体に一定の行動パターンを強制するものであり、この強制力は非常に強いものであること、そして(2)生得的に備えた自発活動の個体差は、即刻の逃避・回避を要求されるような緊急事態における大雑把な、とりあえずの緊急対処に役割を果たす、個体の適応様式の差異ということができる。 本研究はまだ未完成ではあるが、本研究課題に対して与えられた研究費補助金によって、自発活動の遺伝的個体差が学習においてどのような役割を果たすかについて、逆にいえば、学習とはいかなるものなのかについて、一応の結論をみることができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 中津山 英子・牧野順四郎: "第65世代Tsukuba情動系ラットのランウェイテストにおける移動活動" 筑波大学心理学研究. 20巻. 23-29 (1998)
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[Publications] 加藤 克紀: "近交系マウスの社会的相互作用に対する隔離飼育の影響:相手個体のsniffingに対する反応" 筑波大学心理学研究. 20巻. 9-14 (1998)
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[Publications] Y.Wada and J.Makino: "Defensive burying in two strains of rats selected for emotional reactivity." Behavioural Processes. 41巻. 281-289 (1997)