1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07451019
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本田 仁視 新潟大学, 人文学部, 教授 (50124623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 信雄 新潟大学, 人文学部, 助教授 (10234452)
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Keywords | 視覚定位行動 / 眼球運動 / サッケード / 運動プログラム / 脳内表現 / 視野安定 |
Research Abstract |
暗中において被験者がサッケードを行なった時に、そのサッケードの実行中、その直前あるいは直後の様々な時点で光点を瞬間的に提示し、その光点の位置を判断させた。このような課題での定位成績と同時に記録された眼球運動のデータを用いて、サッケード(飛躍眼球運動)の脳内表現を“相殺説"にもとづいて心理物理学的に推定した。その結果、サッケードの脳内表現はその時間的特性の点で実際のサッケードとはかなり異なっていることが明らかになった。このようなくい違いにもかかわらず、日常生活においてはサッケードが頻繁に生じても、視覚世界は安定して見える。このような安定した視覚世界は、どのような仕組みによってもたらされるのだろうか。この問題を検討するために、3つの背景視野条件を設定した上で、被験者がサッケードをおこなった時に光点刺激を瞬間提示し、その定位成績を比較した。その結果、完全暗室条件では大きな定位の誤りが認められたが、背景視野全体が明るい条件や、暗い背景であってもその中に視覚的な枠組み(基準系)が提示された条件においては、光点の定位成績は向上することが示された。3つの背景視野条件での定位成績の詳細な分析から、日常生活では、明るい背景視野からもたらされる視覚情報を位置判断の手がかりとして利用することによって、サッケードの頻繁な生起にかかわらず視野の安定が保たれることが示唆された。さらにサッケードにともなって生じる視覚的注意の移動現象が、この種の実験場面における定位成績に影響を及ぼしていることが示唆された。
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