1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07451022
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
乾 敏郎 京都大学, 文学研究科, 教授 (30107015)
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Keywords | 形状認知 / 類似性 / 主成分分析 / カテゴリー学習 / ニューラルネットワークモデル |
Research Abstract |
仁科と乾(1996)は呈示時間の短い条件では、強く視点に依存し、画像を直接比較する処理(2次元的比較処理)が行われており、呈示時間の長い条件では得られた画像から復元される3次元的な情報を利用してより大きな角度変化に対しても認識できるような形状比較(3次元的比較処理)が行われているとする仮説を提案した。そこで、仁科、乾(1997)は、刺激形状の複雑さに対してそれぞれの処理過程の違いが存在するのかどうかを確認した。この仮説が正しければ、複雑さの効果は画像を直接比較する処理よりも、物体の構造に依存した比較を行う処理に対して強く見られると予想されるが、結果はこれを支持した。一方、3次元空間内の物体や図形が2次元に投影される時、投影像は観察者との位置関係により変化する。そこで、杉尾、乾(1997)は、この位置関係情報(ポ-ズ情報)がどのように脳内で表現されているかを無意味図形を用いて実験的に検討した。個人差を考慮した非計量的MDSによって結果を分析したところ、被験者は2次元的な変換パターンを適切に復元することで、変換空間を形成していることがわかった。このことから、変換空間内での位置づけにより、知覚図形の変換情報が計算されていると考えられる。三崎(1998)は、カテゴリー分け学習を行うことにより、対象の見え方がどのように変化するかを調べ、さらにそのカテゴリー分け学習がどのような機構のもとで行われているかを、カテゴリー境界の学習の制約を調べ、ネットワークモデルによりシミュレーションを行うことにより考察した。類似性判断においては、カテゴリー知識がバイアスとして影響し、同一カテゴリー対象の類似性は高く評価される傾向があることが分かった。またカテゴリー分け学習によって見え方そのものも、Relevant Dimension上では同じように見えるようになる傾向があることも分かった。このようにカテゴリー分け学習による知識の仕方の変化は、高度の知識が判断時に間接的に影響するだけでなく、見え方そのものも変化していることが考えられる。
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[Publications] 乾 敏郎: "池田・小保内図形残効のモデル" 日本心理学会第61回発表論文集. 540 (1997)
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[Publications] 杉尾 武志,乾 敏郎: "図形認知における変換情報の表現" 日本心理学会第61回発表論文集. 615 (1997)
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[Publications] 仁科 繁明,乾 敏郎: "2種類の形状比較プロセスに対する刺激の複雑さの効果" 日本心理学会第61回発表論文集. 625 (1997)