1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07451026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 俊男 北海道大学, 文学部, 教授 (80158089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 素彦 北海道大学, 文学部, 助手 (60271706)
山岸 みどり 大阪国際大学, 経済情報学部, 教授 (20211625)
亀田 達也 北海道大学, 文学部, 助教授 (20214554)
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Keywords | 信頼 / コミットメント / 社会的不確実性 / 内集団ひいき / 機会費用 / 取引費用 / 集団主義 / 社会照射ジレンマ |
Research Abstract |
平成8年度には、7年度に実施された一連の実験の追試実験と、そこで得られた実験結果の解釈の妥当性を検討するための実験として、第5および第6実験が行われた。これらの実験の結果は7年度に行われた実験において得られた、低信頼者にくらべ高信頼者の方が他者の信頼性の欠如を示唆する情報に敏感に反応するだけでなく、他者の信頼性の予測をより正確に行うとする結果の頑健さを追試結果によって確認するとともに、高不確実性/高機会コスト社会における信頼形成のメカニズムとして、社会的知性を高めるための認知コストの投資過程を想定する理論モデルの可能性を示している。これまでに本研究およびそれに先立つ一連の研究の中で我々が発展させてきた信頼理論では、高不確実性/高機会コスト社会において一般的信頼がもつ適応価値の存在を指摘することによって一般的信頼形成の根拠としてきたが、8年度の研究の結果を取り入れた新たな理論モデルでは、一般的信頼が高不確実性/高機会コスト社会において社会的知性および信頼性と「共進化」するという観点が採用されている。また、これらの認知的および行動的な特性が社会関係の特性である関係の閉塞性とも「共進化」するという観点が採用されている。また8年度の研究実績としては、上述の実験結果、およびそれにもとづく理論モデルをコンピュータ上に表現するためのシミュレーション・プログラムの開発が進み、プロトタイプ・プログラムが作成されたこと、そして上述の認知・行動特性と社会関係の特性との共進化の過程を、コンピュータ・シミュレーションを用いて分析する試みが開始されたことがあげられる。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 高橋伸幸、山岸俊男: "利他的行動の社会関係的基盤" 実験社会心理学研究. 36. 1-11 (1996)
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[Publications] 渡部幹、寺井滋、林直保子、山岸俊男: "互酬性の期待にもとづく1回限りの囚人のジレンマにおける協力行動" 実験社会心理学研究. 36. 183-196 (1996)
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[Publications] 神信人、山岸俊男、清成透子: "双方向依存性と"最小条件パラダイム"" 心理学研究. 67. 77-85 (1996)
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[Publications] 林直保子、山岸俊男: ""非合理的"協力行動の社会関係的基盤-選択的プレイパラダイムのもとでの実験研究-" 心理学研究. 67. 444-451 (1997)
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[Publications] 渡邊席子、山岸俊男: ""False Consensus"が"False"でなくなるとき一回限りの囚人のジレンマを用いた実験研究-" 心理学研究. 67. 421-428 (1997)
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[Publications] 垣内理希、山岸俊男: "一般的信頼と依存性選択型囚人のジレンマ" 社会心理学研究. (印刷中).
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[Publications] Toshio Yamagishi,Nobuhito Jin & Alan S. Miller: "In-grop favoritism and clture of collectivism. "Uichol Kim, Hai-Sook Kim, Keum-Joo Kwak (Eds.) The Post-Modern Psychology : East Asian Perspectives." Hana Medical Publishing Co.(印刷中),
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[Publications] Toshio Yamagishi & Nahoko Hayashi: "Selectrive play : Social embeddedness of social dilemmas. In W. B. G. Liebrand & D. M. Messick (Eds.) , Frontiers in Soc^'ial Dilemma Research." Springer-Verlag, 363-384 (1996)