1997 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期における社会的相互交渉のメカニズムとその発達的変化
Project/Area Number |
07451033
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
阿久根 求 大分大学, 教育学部, 教授 (60040747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 敦 大分大学, 教育学部, 講師 (80253376)
古城 和敬 大分大学, 教育学部, 教授 (00145351)
丸野 俊一 九州大学, 教育学部, 教授 (30101009)
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Keywords | 幼児の発達 / 社会的相互交渉 / 協応動作 |
Research Abstract |
本研究は,子どもがグループで協力して一つの目的を達成する課題場面で,他者と課題目標の共有や目標指向的な協力関係の形成を,どのような相互交渉活動のもとに行っているのかという問題を検討した。3人で協力して一つの対象をルールに従って操作するという協同なぞり課題を,幼稚園年中,年長児,計120名(40グループ)を対象に実施した。課題解決時に観察される感覚運動レベルにおける協応動作,言語的・非言語的コミュニケーションを従属変数として記録し分析を行った。その結果,まず社会的相互交渉活動は,(1)感情やからだで同期する関係を形成する(位相A),(2)からだとことばで交代的な関係を形成する(位相B),(3)他者の視点を考慮したことばで関わる関係を形成する(位相C),(4)課題操作に習熟する(位相D)という4つの位相を経て展開することが分かった。このような位相の変化は,一般的な乳児期から幼児期に至るまでに現れるコミュニケーションの発達を微視発生的に繰り返すものである。さらに,年中,年長の差は,(1)実験試行中に到達できる位相が,年中はCまで,年長はDまでであること,(2)位相AからBに移行するまでに要する時間や試行数が,年中児の方が多い,というものであった。 また,実験研究と並行して行った幼稚園における日常観察研究では,教師による子どもの行動記録および内面の解釈をデータとし,子どもはことば以上に,からだで相互にコミュニケーションを行い,協同的な関係を形成していることを実証した。 以上のような本年度の成果に,昨年までの成果を加え,最終的な報告書を作成した。
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Research Products
(2 results)