1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07451035
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
東 洋 白百合女子大学, 文学部, 教授 (60012548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐澤 真弓 白百合女子大学, 文学部, 助手 (60255940)
宮下 孝広 白百合女子大学, 文学部, 助教授 (00190778)
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Keywords | 意欲 / 自己認知 / 効力感 / 行動規範 |
Research Abstract |
近年、認知過程の心理学的研究が盛んになり、社会的認知の研究も深まったので、意欲の基礎として、自己、状況、課題、人との関係、成功失敗の原因などの認知を問題とする傾向が顕著になってきている(Weinerなど)。一方、上述のような社会的認知過程が、文化によって影響されることを示す研究も多く行われ(Shwedeなど)、またそれらについての日本と欧米の比較も多く行われている(Maerkus & Kitayamaなど)。本研究は、こうした問題意識を受け、日本人(青少年)の自己認知、課題認知、目標認知がどのような特徴を持ち、またそれが学習及び課題達成の意欲にどのように関連するかを明らかにすることを目的とする。今年度は回本人の意欲についての総合的検討を行った。 1)目標設定の条件:日本及びアメリカの大学生各30人に、現在の目標、7年後、20年後の自分の状況に関する自由記述を求め、目標が将来どの時期まで明確になっていたかの個人差・文化差についてを検討した。日本人の意欲ー学業やその他の努力をするための動機的側面の構造についての示唆が得られた。 2)Agency beliefと効力感:日本での高校生版CAMI質問紙について、さらなる分析を行い、他者からの信頼、教師との関係が、子どもの意欲と自己認知に強く関係していることが見い出された。この点についての統合的分析と論文をまとめた。 3)行動規範:行動規範のなかでも、特に自己向上、動機づけと自己批判傾向の関係を見ることにより、日本人の意欲と文化的価値、行動規範との関係を検討した。具体的には、日本人大学生160名に自由記述を行わせた。その結果、自由な記述の中に自分の欠点を見いだし、さらにそれを修正し、矯正しようという自己批判的傾向が見いだされた。この心理過程と行動規範との関係について検討した。 総合的考察:以上の3つの領域からの結果を、統合的に考察するために、アメリカのRohbaum,Shweder博士らの専門家の知識を得て、検討会を行った。その上で、報告書を作成した。
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