1995 Fiscal Year Annual Research Report
漁船乗組員の海上生活構造に関する実証的研究-フィールドワークにもとづく実態把握-
Project/Area Number |
07451056
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Matsuyama Shinonome College |
Principal Investigator |
若林 良和 松山東雲女子大学, 人文学部・人間文化学科, 助教授 (10201146)
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Keywords | 海上生活構造 / 漁業労働 / フィールドワーク / 参与観察 / 技術移転 / 文化変容 / 船上コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究は、漁業従事者の漁船内における漁業労働と消費生活を包括的に把握するために、「海上生活構造」という捉え方をその出発点とし、その実態把握をフィールドワークによって行おうとするものである。まず、漁業労働が漁具や各種の船内機器・装備の拡充によりどのように変容したかを把握する。次に、消費生活はそれ自体の実態把握を踏まえ、漁業労働との関係においてどのような従属性を持っているかを検討する。さらに、船上における乗組員の地位・役割にもとづくコミュニケーションの実態も視野に入れた分析も進めることにした。そのための具体的な事例として、研究代表者が従来より研究を展開しているカツオ漁業を取り上げた。 今年度は、沖縄県を中心に、鹿児島県や高知県など西日本のカツオ漁業地域で調査研究を推進した。西日本各地では、遠洋カツオ漁業、近海(沖合)漁業における「海上生活構造」の実態をインタビューや文献により情報収集した。特に、沖縄県のフィールド(宮古郡伊良部町)では、前述した情報収集のほか、本研究の独創的な調査技法である乗船による参与観察を行った。そして、地元近海でのカツオ漁業に加えて、南方(南太平洋・ソロモン諸島)へ出漁しているカツオ漁業をも対象に入れた。れうしたことで、技術移転と文化変容、さらには、船上コミュニケーションなどの問題も含め、グローバルな視点でもって、漁業労働と消費生活の実態を把握することができた。今年度の調査研究から、西日本各地のカツオ漁業に関する歴史的背景の共通性(中小漁業資本による経営、地域における産業の脆弱さ)と、それぞれの地域性(漁撈習俗の個別性とオカの習俗に依拠すること)の存在も明確になった。第2年度も、西日本各地を中心にフィールドワークを推進し、本研究の課題を深化させる予定である。
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