1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07451098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊田 昌倫 京都大学, 文学研究科, 教授 (30029681)
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Keywords | 現代英語 / 英語学 / スタイル / 文体 |
Research Abstract |
本年度は「現代英語のスタイル」の語彙レベルの分析を中心に研究を行った。研究対象のコーパスとしては、主として口語レベルではその代例である会話をとりあげた。David Crystal & Derek Davy.Advanced Conversational English(1975)を基礎資料として選び、一般に会話英語では本来語で音節数の少ない「中核語」が外来語で多音節の「周辺語」よりも頻度の高いことを確認した。また談話の観点から「再現」という現象に着目して、ある概念が談話でふたたび用いられる場合、反復と変奏の可能性のうちどれかが選択されるかを調査し、会話英語では反復が好んで選ばれる事実も明らかにした。さらに会話に頻出する談話標識(discoursemarker)についても分析を行い、特定の副詞や「コメント前」(comment clause)の分析にも着手した。より一般的な論点としては、アメリカ英語とイギリス英語の差異も研究の視野に収め、その成果の一端は『イギリス/アメリカ英語対照辞典』(研究社出版)の訳出、訳注で明らかにした。 文語レベルでは本年は特殊な分野として聖書の英語に着目し、英訳聖書の諸版を歴史的にたどり、現代英語の文体の語彙特徴を明らかにした。具体例としては、bring a charge(非難する)に代表される名詞構文を取り上げて、近代英語の諸版を比較し、この構文が現代英語で多用される事実を立証した。その成果は昨年9月、ケンブリッジ大学で行われた「歴史文体論会議」において報告した。また小説に関してはイギリスの作家、Agatha Christieのスタイルの特徴についても研究を進め、近くその成果を書物の形で明らかにする予定である。
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[Publications] 豊田 昌倫: "コミュニケーションにおけるフォーマルとインフォーマル" 英語教育. 45・2. 11-13 (1996)
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[Publications] 豊田 昌倫: "共時文体論と通時文体論-二つの国際会議" 英語青年. 142・10. 11-15 (1997)
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[Publications] 豊田 昌倫: "英語のスタイルと表現" 英語教育. 45・13. 24-25 (1997)
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[Publications] 豊田 昌倫: "イギリス/アメリカ英語対照辞典(翻訳・研究社出版)" 1-684 (1996)