1997 Fiscal Year Annual Research Report
フランス中世・ルネサンスにおける教義・伝説・象徴の歴史的変遷に関する総合的研究
Project/Area Number |
07451099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 志朗 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90138610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 浩司 筑波大学, 文芸・言語学系, 専任講師 (90262089)
鈴木 雅雄 早稲田大学, 文学部, 専任講師 (20251332)
松村 剛 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (00229535)
池上 俊一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70159606)
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Keywords | 死 / 象徴 / 異界 / 食物 / ユマニスム |
Research Abstract |
今年度は、とくに中世・ルネサンス期の彼岸と此岸の関係と、それにかかわるイメージを支える人々の生と死の様態を、文書史料ならびに図像史料を用いて追究した。象徴と寓意が重要な地位を占める死生観の検討は、教会の教義と世俗的立場との相違、ならびに相互の影響を調査するうえで好個の素材であった。その際、かたや教義と理論、かたや伝説と神話の相互作用に照明を当てることで、イメージのもつ象徴的意味を適確に解釈するように努めた。具体的には、中世フランスの文学作品に現れる異界とそこからの呼び掛けともいえるさまざまな異象、およびラテン語で書かれたエクセンプラ(教訓逸話集)に現れた天罰とその俗語版での変形の検討によって、中世的な死生観とそれにまつわるイメージを明らかにし、またイタリア、フランスおよびオランダのユマニストたちの作品と画家の作品に見られる生・死と食物イメージの密かな関係を探ることで、中世からルネサンスへの文化構造の転換を解明することができた。さらに前年度までの研究成果と総合することで、これら生と死の関係は、身体・自然と文化・芸術をつなぐ媒介項として機能していることが分った。 本研究の成果は、すでに宮下により何冊かの著作と訳業に生かされ、池上により、論文としてまとめられつつある。松村は、フランスの専門誌に投稿することで、日本のみならずフランス学界にも積極的に評価を問うており、われわれの三年におよぶ共同研究は、その大きな成果の一端を、すでに江湖に知らしめているといってよいだろう。
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[Publications] 松村剛: "Sur le Traittie de Conseil de Guillaume Fillastre : Lecons des variantes" Neuphilologische Mitteilungen (Helsinki). t.98. 199-208 (1997)
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[Publications] 松村剛: "グ-テンベルク以前" 言語(大修館). 27・2. 40-46 (1998)
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[Publications] 池上俊一: "『世界の歴史10巻-西ヨーロッパ世界の形成』" 中央公論社, 406 (1997)
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[Publications] 草光俊雄・小林康夫編: "『未来のなかの中世』" 東京大学出版会, (うち95-110,131-148,181-196) (1997)