1996 Fiscal Year Annual Research Report
再統一ドイツと国民的自己像の再編-言説分析的基礎研究
Project/Area Number |
07451101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
新井 皓士 一橋大学, 言語社会研究科, 教授 (60022117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 哲司 一橋大学, 社会学部, 助教授 (90170026)
三瓶 裕文 一橋大学, 法学部, 教授 (40127402)
田邉 秀樹 一橋大学, 言語社会研究科, 教授 (80012532)
古澤 ゆう子 一橋大学, 言語社会研究科, 教授 (00173534)
諏訪 功 一橋大学, 言語社会研究科, 教授 (30017628)
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Keywords | ドイツ / マス・メディア / 国民的自己像 / テキスト・データベース / 言説分析 |
Research Abstract |
昨年度は資料の調査収集と体系的整理を行い、基礎的データを作成することを主目的としたが、対象としたドイツのマス・メディアを代表する日刊新聞や週刊誌等の資料が想定以上に膨大であったため、残部については今年度も昨年度検討した方針と手法に基づき、分担者全員が参加して引き続き資料収集と整理を行った。特殊事情として年初にあっては学内教育研究組織の改革と校舎の改築移転事業の影響のためデータベース構築計画および研究会の定期的開催予定にやや狂いが生じたが、その間各自の分担テーマに応じて学内LAN経由で意見を交換し、またインターネットを利用して活字メディア以外の生情報に接する機会が多くなっている。しかし反面そのことからまた研究方針に微調整を加える必要性も感じられるようになり、基本設定を変えない前提でどの程度まで枠をひろげるべきか、資料整理と並行して目下検討を重ねつつある。すなわち当初にあってはすぐれて共時的な意味で「再統一」ドイツの「国民的自己像」への関心が支配的であったが、その後とりわけ失業問題に代表される微妙な経済状況の変化と、域内自由化や通貨統合を実現しつつあるEU統合運動とが加わって、国民意識に無視できぬ影響を及ぼしつつあり、かつ再統一そのものをして早くも通時的・歴史的視座において考えざるをえないと思われる状況をうみつつあることが、国際ネットワーク等を通じて切実に伝わり、各研究分野の資料収集に波及的効果を及ぼしつつあるからである。このことはとりわけドイツ社会における「他者」の問題、あるいは西欧先進国の「座標軸」問題を考察する場合などに著しい。なお旧東ドイツ圏に関しては今年度より研究分担者として参加したハ-バーマイア-客員教授が現在「近代化」に関する講演旅行を兼ねて現地における資料収集につとめている。学外研究者との共同研究会によっては、特に統一後ドイツの文学・出版界の事情について、本研究にとっても有益な情報と示唆をえている。
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Research Products
(23 results)
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[Publications] 新井皓士: "源子物語・宇治十帖の作者問題-一つの計量言語学的アプローチ" 一橋論叢. 117・3. 1-17 (1997)
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[Publications] 新井皓士: "文体統計論的にみた『ゲーテ・シラ-往復書簡集』の特性" ゲーテ年鑑. 38. 155-174 (1996)
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[Publications] 諏訪功: "ことばの連合関係-漱石とハイネを例に-" 一橋論叢. 115・3. 577-589 (1996)
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[Publications] 諏訪功: "新聞・雑誌のドイツ語" 基礎ドイツ語1996年度第1号〜第12号. 47巻1〜12号. 24 (1996)
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[Publications] 田辺秀樹: "ウィーンのミュージカル『エリーザベト』" アンダンテ. 15. 15-17 (1996)
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[Publications] 田辺秀樹: "コルンゴルトのオペラ『死の都』" アンダンテ. 16. 15-17 (1996)
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[Publications] 田辺秀樹: "シューベルトの『魔王』" アンダンテ. 18. 15-17 (1997)
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[Publications] 田辺秀樹: "リヒャルト・シュトラウスの『サロメ』" 日本フィル・プログラム. 485. 9-12 (1996)
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[Publications] 田辺秀樹: "屈折したワーグナー愛好の形" 東京二期会オペラ『ワルキューレ』公演プログラム. 50-53 (1996)
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[Publications] 古澤ゆう子: "ヘーゲルの『アンティゴネ-』解釈の批判的考察" ヘーゲル学報. 3. 86-117 (1996)
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[Publications] 古澤ゆう子: "Idee bei Platon und Benjamin" Hitotsubashi Journal of Arts and Sciences. 37・1. 5-12 (1996)
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[Publications] Hirofumi Mikame: "Markierte Perspektive,Perspektivische Arraherung des Sprechers an das Objekt und direkte Wahrnehmung." Sprach wissen schaft. 4. 367-420 (1996)
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[Publications] Kubo,Tetsuji: "Benjamins Blick auf Nietzsches Dionysik" Hitotsubashi Journal of Arts and Sciences. 37.1. 25-30 (1996)
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[Publications] 清水朗: "エリック・ロメールまたは36の偶然" 言語文化. 33. 25-33 (1996)
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[Publications] 尾方一郎: "ドイツ語スペルチェックについて-考察と簡単な手法の報告" ドイツ語情報処理研究. 9(印刷中). (1997)
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[Publications] 田辺秀樹: "シューベルトと仲間たち" ミューズ. 56. 10-11 (1996)
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[Publications] Rainer Habermeier: "Schellings Zeitalter und Kierkegaards Studien beim truhen Benjamin" Hitotsubashi Journal of Arts and Sciences. 37・1. 13-23 (1996)
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[Publications] 諏訪功: "Zur Linguistik des Witzes-Bemerkungen zum Begriff ″rapports associatifs″ bei Saussure,「岩崎英二郎記念論文集」(仮題)所蔵" 平尾浩三他編,同学社刊(印刷中), (1997)
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[Publications] ヴォルター・ベンヤミン著,久保哲司(共訳): "ベンヤミン・コレクション2" 筑摩書房, 672 (1996)
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[Publications] ヴォルター・ベンヤミン著,久保哲司(共訳): "ベンヤミン・コレクション3" 筑摩書房, 655 (1997)
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[Publications] 清水朗・飯嶋一泰: "独検合格らくらく30日(3級)" 郁文堂, 118 (1996)
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[Publications] 飯嶋一泰・清水朗: "独検合格らくらく30日(4級)" 郁文堂, 103 (1996)
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[Publications] J・トールワルド著 尾方一郎訳: "近代手術の開拓者" 小学館, 283 (1996)