1996 Fiscal Year Annual Research Report
地域自治組織-自治会・町内会・部落会-の公法学的・法社会学的研究
Project/Area Number |
07452003
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Research Institution | UNIVERSITY OF THE RYUKYUS |
Principal Investigator |
仲地 博 琉球大学, 教養部, 教授 (80045202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 博人 琉球大学, 法文学部, 講師 (50242798)
前津 栄健 沖縄国際大学, 法学部, 助教授 (10248651)
高良 鉄美 琉球大学, 法文学部, 教授 (40175435)
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Keywords | 自治会 / 町内会 / 地域自治組織 / 公民館 / 行政の事務委託 / 地縁団体 / 沖縄 / 地方自治 |
Research Abstract |
本研究の目的は、沖縄における地域自治組織(自治会・町内会・部落会)を素材としながら、我が国における草の根民主主義がどのように息づき、どのような限界をもっているかを明らかにすることにより、我が国の統治構造と民主主義のあり方を考察することにあり、同時に、これからの自治と分権の方向性に対する示唆を得ようとするものである。 今年度は昨年度の補足調査として、ほぼ一年間、資料の収集活動を継続的に行うと共に、共同現地調査を行い、ヒアリング調査の検討のため随時研究会を開催し、報告書の執筆と共同研究を行った。とりわけ今年度は、沖縄県内における自治組織が他の都道府県の場合とは歴史的にも社会的にも数多く相違し、その歴史、形態、機能等を明らかにすることは重要であるとの認識の下に、各自の地域自治組織についての問題意識を深め、研究対象領域を広げた。 民主主義教育の実体的側面を有する公民館を、民主的な社会教育を行っていく住民と一体となった自治組織の一形態として捉え、沖縄の県民投票時の活動を一例とし、公民館の役割について考察を加えた。また、沖縄における各市町村と自治組織との関係について、行政の「事務委託」制度に着目し考察した。さらに、沖縄における地縁団体の認可状況とその問題点を考察した。 その結果、総体として言いうることは、法律上の自治体(地方公共団体)が画一化されているのに比較し、沖縄の住民自治組織がはるかに多様な様相を示していることである。それは間違いなく地域の個性に対応し、また、逆に地域の個性を形成しているといえるだろう。地方分権の潮流の下で個性ある地域づくりが求められているが、沖縄がまさに時代に要請に答えると共に、格好の研究材料を提供していることが理解できた。
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[Publications] 仲地博: "沖縄は住民投票に何を求めるか" 潮. 10月号. 114-121 (1996)
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[Publications] 仲地博: "沖縄米軍基地と法の果す役割" 法律時報. 68巻12号. 39-43 (1996)
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[Publications] 高良鉄美: "沖縄が求める平和的生存権" RONZA(朝日新聞社). 5月号. 72-77 (1996)
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[Publications] 高良鉄美: "沖縄・民主・人権・平和" 日本の科学者. 31巻6号. 39-43 (1996)
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[Publications] 前津栄健: "名瀬市大熊町内会" 自治おきなわ. 7月号. 45-47 (1996)
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[Publications] 徳田博人: "名瀬市における嘱託員制度について" 自治おきなわ. 7月号. 42-44 (1996)
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[Publications] 徳田博人: "沖縄の県民投票が示したもの" 法学セミナー. 1月号. 57-60 (1997)
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[Publications] 仲地博: "戦後政治の展開と憲法 地方分権と沖縄基地問題" 敬文堂, 220 (1996)
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[Publications] 前津栄健: "沖縄の基地問題 地方分権と機関委任事務" ボーダーインク, 311(24) (1997)