1995 Fiscal Year Annual Research Report
磁性金属/磁性層状半導体へテロ接合における弾性・非弾性トンネリング効果
Project/Area Number |
07454058
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山口 邦彦 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (00158099)
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Keywords | 磁性層状半導体 / トンネル分光 / 非弾性電子トンネリング |
Research Abstract |
MnPSe_3,FePSe_3単結晶を沃素を用いた化学輸送法で,またGaS,GaSe単結晶をブリッジマン法で育成した.それぞれトンネル接合を作成することが可能な形状・サイズの結晶を得た.今後,トンネル接合作成に必要な量の結晶を確保すると共に,他の症状物質CoPS_3O,InP_2/_3S_3等についても育成を試みる予定である. Pb/MnPSe_3/Pb,Pb/FePSe_3/Pb接合を作成し,液体ヘリウム温度下でそのトンネル分光測定を行った.その結果,Pb/MnPSe_3/Pb接合については漏れ電流が10%以下の良好なトンネル接合の作成に成功した.そのトンネルスペクトルはMnPSe_3の素励起(フォノン,マグノン)の関与する非弾性電子トンネリング(IET)効果による構造を示した.その特徴は既に報告してるPb/MnPSe_3/Pb,接合の特徴と類似していた.一方,FePSe_3は,その表面がPbの真空蒸着によってダメ-ジを受けるため,トンネル接合の絶縁層として用いることは困難であることがわかった.したがって,現時点で本研究に適応可能な磁性属状半導体はMnPS_3,MnPSe_3,FePSe_3であり,主としてこれらの磁性層状半導体を用いて今後の研究を進める. 電極が非磁性の場合について,電極フォノンの関与するIET効果と電極の自己エネルギー効果を調べた.その結果,電極の自己エネルギー効果は,今までに唯一知られているPbの他にA1についても観測されることが明らかになった.一方,電極フォノンの関与するIET効果は,絶縁層として用いたGaSまたはGaSeのフォノンの寄与に比べて一桁程小さく,トンネルスペクタルに顕著な構造を与えないことがわかった. 以上を踏まえ,また本年度で準備した設備備品を十分活用し,8,9年度で電極極性のトンネル効果への寄与の解明を目指す.
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