1997 Fiscal Year Annual Research Report
磁性金属/磁性層状半導体ヘテロ接合における弾性・非弾性トンネリング効果
Project/Area Number |
07454058
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山口 邦彦 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (00158099)
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Keywords | 層状半導体 / トンネル効果 / トンネル分光学 / 強磁性トンネル接合 / フォノン / マグノン |
Research Abstract |
反強磁性層状半導体単結晶MnPS_3のへき開薄膜を絶縁体部分に,強磁性金属Feの薄膜を電極部分に用いた金属/絶縁体/金属(MIM)ヘテロ接合型の強磁性トンネル接合の作成を試みた.また比較対照として,絶縁体部分に常磁性層状半導体GaS,または電極の一方に常磁性金属Pbを用いたMIM接合の作成も行い,以下の結果を得た. 1.MnPS_3およびGaS単結晶へき開面上へのFe薄膜作成を電子ビーム蒸着法で試みたところ,どちらのへき開面上においても蒸着速度0.1〜1nm/sの範囲で膜厚100nm以上では密着性が悪く,Fe薄膜がへき開面から剥落した.この剥落を避けるためFe薄膜の膜厚を100nm以下とし,この上にバッファー層としてAgを500nm蒸着した.その結果,層状半導体へき開薄膜を絶縁体部分に用いたMIM接合の形式的作成が可能となった. 2.1.の蒸着条件で対抗電極をFeあるいはPbとするMIM接合を作成した.その結果,数個のMIM接合でトンネル電流が部分的に流れていることを確認できた.しかしながら,これらの接合では,強磁性トンネル効果およびマグノン,フォノンが関与する非弾性電子トンネル効果など,良好なトンネル接合で期待される現象を観測できなかった.その現象論的な原因は,トンネル電流が部分的に流れている部分と直列または並列に金属的な電流路ができているためと推測される. 以上,本研究は層状半導体単結晶へき開薄膜を用いてMIM型強磁性トンネル接合を作成できる可能性を示した.
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