1995 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡表面系における個々の原子の運動とメゾスコピック構造ダイナミクス
Project/Area Number |
07454064
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有賀 哲也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70184299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西嶋 光昭 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90108978)
高木 紀明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50252416)
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Keywords | 表面 / 超高真空 / STM / 走査トンネル顕微鏡 |
Research Abstract |
温度可変超高真空STM装置を製作した。 本研究で用いるSTMでは、高い機械的剛性を保ちつつ、試料ステージがほぼ完全に熱絶縁されている。これにより、熱ドリフトの問題は試料ステージのみに限定される。試料ステージは、柔軟な熱導体により個体窒素デュワ-に接続して冷却する(液体窒素では発砲振動がある)。この温度を基準とし、試料のみを加熱して温度制御する。試料の熱容量を小さく、試料一試料ホルダー間の熱抵抗を大きくすることにより、加熱に必要な熱量は試料温度600Kにおいて〜1Wに抑えられる。更に、熱拡散シミュレーションに基づいて試料ステージの材質・構造を最適化した。 また、STMの制御・測定系、超高真空槽、排気系などを整備し、性能試験、予備実験を行った。その結果、温度可変ステージについてはほぼ初期の性能が得られる見通しがついた。また、STMヘッドに関しては、予想以上に優れた性能が得られている。特に、1pAのトンネル電流のもとで、安定したトポグラフィ像が得られていることは特筆すべき点である。これにより、表面原子に対する擾乱を最小に抑えての原子像観察が可能になるほか、電気伝導度のきわめて低い試料についても原子像観察が可能になる。今後、この新しいSTM装置を用いることにより、表面における構造相転移やエピタキシャル成長・昇華におけるメゾスコピック構造ゆらぎ、表面の化学反応におけるメゾスコピック構造形成、などの動的過程にある表面を直接観測する。これにより、表面原子のホッピング、結合生成、解離などのミクロスコピックな過程に基づいて、局所的秩序形成、形態形成、非平衡ゆらぎなどのメゾスコピックな現象の実体を理解することをめざす。
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Research Products
(1 results)