1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454065
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大門 寛 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (20126121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 滋正 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40107438)
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Keywords | 光電子回折 / 円偏光光電子回折 / 表面構造解析 / 表面構造 / W(110) / W(110)1×1-0 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「元素ごとの、変換を必要としない直接的な3次元の構造解析法」を新たに開発する事である。ここで用いる原理は、「円偏光X線を試料に照射して、出てくる内殻光電子の2次元的な放出角度分布パターン(光電子回折パターン)の中の前方散乱ピークの位置を測定し、円偏光の極性を左右に変えたときのピーク位置のずれから原子の結合方向と結合距離を直接解析する」というものであるが、これは我々が新しく発見した物である。円偏光光電子回折法では、左右の円偏光の時の観察される前方散乱のピーク位置から3次元の原子位置が直接もとめられるはずである。しかし、まだ測定例が少ないので、さらに多くの測定を行い、この方法を確立させる必要がある。 平成7年度は、W(110)上に酸素を吸着した系を用いて研究を進めた。この試料は、酸素の吸着量によってp2x1、1x1等ができる。そのうちの1x1の試料について実験を行った。この表面の構造は判っていなかったが、XPS光電子回折を用いて解析を行い、構造を決めた。さらに、その試料に円偏光を当てて、第1層のW原子から出るW4f光電子の酸素原子による前方散乱のピーク位置を、2次元的に測定した。この系では、一回散乱が主になるので、理論的な比較が容易になる。測定は、米国バークレーのALS放射光施設で行った。試料に対する光の入射角は垂直に固定し、角度分解型の分析器を回転して測定を繰り返し、極角依存性を測定した。励起源の円偏光は偏向電磁石からの放射光の上下の部分を用いた。 結果は、ほぼ予想されたようにピークが回転しているのが観測された。そのピークは、いくつかのm値のピークが重なったように見え、その最大位置は、予想された回転位置と非常に良く一致した。従って、今までと異なる一回散乱の系でも我々の理論が良い一致を示したことは、本研究目的にとって大きな成果である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiroshi Daimon: "Direct Structure Analysis of W(110)1×1-0 by Surface-Core-Level-Shift Two-Dimensional X-ray Photoelectron Diffraction" Phys.Rev.B. (発表予定).
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[Publications] Hiroshi Daimon: "Circular Dichroism in Core-Level Emission from O/W(110)" Phys.Rev.B. (発表予定).