1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454074
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野村 一成 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80128579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市村 晃一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50261277)
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Keywords | STM / 超伝導 / 電子状態密度 |
Research Abstract |
有機物超伝導体の電子状態を調べるため、トンネル顕微鏡(STM)装置の整備を行うとともに、現有のSTM装置による測定も同時に行った。 有機物超伝導体でのSTM測定では、特に低温領域が重要となるため、装置を低温で安定に動作させることが不可欠である。このため新たにSTMユニットを購入した。これをヘリウムクライオスタットに組み込むことにより、1.4Kまでの温度域での測定が可能になった。この装置を用いて、現在までに標準試料においての予備測定を開始している。さらに、この装置に超電導磁石を組み込み、磁場下でのSTM測定を可能にすることを計画している。磁場下の測定では、超伝導の渦糸状態の電子状態を微視的に調べることが可能となることから、極めて有力な測定手段として期待される。 また、現有の装置を用いた測定では、有機物超伝導体(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2の単結晶試料を用いたトンネル分光測定を行った。この結果、超伝導相の電子状態密度において明確な超伝導ギャップ構造を観測した。この超伝導ギャップ構造は相当に大きい異方性を示しており、この物質における超伝導が単純な等方的s波によるものではないことが明らかになった。一方で、測定の過程において単結晶試料の清浄な表面を得ることが極めて難しいことも明らかになった。今後、再現性のある精密なデータを得るためにには、大気に試料を直接さらさない状態での試料表面の処理等の工夫が必須である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Numura et al.: "STM Spectroscopy in Supercorducting Phase of(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2" Synthetic Metals. 70. 911-912 (1995)
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[Publications] K.Numura et al.: "^1H NMR in Spin・duesity Wave of(TMTSF)_2X" Synthetic Metals. 70. 1295-1296 (1995)
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[Publications] K.Ichimura et al.: "Precise STM spectroscopy on the superconducting phase of Bi_2Sr_2CaCu_2O_2" J Phys.:Condens.Matter. 7. L545-L551 (1995)