1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454077
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 英典 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40187935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野原 実 東京大学, 物性研究所, 助手 (70272531)
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Keywords | 超伝導 / ホウ素炭化物 / Y(Lu)Ni_2B_2C / 電子状態 / 反強磁性スピン揺らぎ |
Research Abstract |
物質開発の面では、YbNi_2B_2Cの単相試料の合成に成功し、これが重い電子系を形成していることを見いだした。しかしながら、20mKまでの温度範囲で超伝導転移は観測されなかった。YbNi_2B_2Cは17K超伝導体LuNi_2B_2Cと固溶系をなすので、近藤効果と超伝導という切り口で今後の展開が期待できると考えている。また物性測定用の試料の合成について、単結晶の合成、核磁気共鳴の測定のためのニッケル同位体を含む微量試料の合成法の確立などに成功した。 試料合成面での進展を受けて、物性測定の面では当初の計画以上に研究が進展した。本研究では物性測定の基本戦略として、超伝導発現に関わる物理的特徴の抽出を意図して、超伝導を示すY(Lu)Ni_2B_2Cと非超伝導LaNi_2B_2Cを比較する形で研究を進めている。その結果、以下にまとめるように一連の物質の超伝導を考える上でポイントとなる物質的特徴が明らかになり、超伝導発現の必須因子が議論できるレベルに達した。 一連の物質の結晶構造は層状構造であるが、単結晶を用いた異方性の測定結果から、電子系は三次元的であることが確立された。非常に強い反強磁性スピン揺らぎの存在が核磁気共鳴の結果から示され、一連の超伝導体が反強磁性に近い金属であることが明らかとなった。非超伝導のLaNi_2B_2Cでは反強磁性スピン揺らぎが超伝導体と比べて顕著に小さくなっており、超伝導発現と反強磁性スピン揺らぎの間の密接な関連が示唆された。電子相関の効果の効果は非常に重要であるが、軟X線吸収、ドハース・ファン・アルフェン効果と、バンド計算との一致は良好であり、基本的にはバンド的なアプローチの妥当な系である。軟X線吸収の実験では、理論的に超伝導発現の鍵であると指摘されていたB,Cspバンドの存在がはっきりととらえられ、超伝導体と非超伝導体の間で、フェルミレベルに対する寄与が大きく異なっていることが明らかにされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S. Shin,M.Hinomaru,H.Takagi et al.: "Soft-xray-emission studies of YNi_2B_2C and LaNi_2B_2:Observation of B2p and C 2p partial density of states" Physical Review. B52. 15082-15085 (1995)
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[Publications] H.Takagi: "Borocarbide superconductors-Materials and physical properties" Advances in superconductivity VII. 9-14 (1995)
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[Publications] M. Tokunaga ,N .Miura ,H .Takagi and R .J .Cava: "de Haas van Alphen oscillations of LuNi_2B_2C in Pulsed high magnetic fields" Journal of the Physical Society of Japan. 64. 1458-1461 (1995)
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[Publications] T. Kimura, S. Miyasaka, H. Takagi et al.: "In-plane and out-of plane magnetoresistance in La_<2-x>Sr_xCuO_4 single crystals" Physical Review B. April 1. (1996)
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[Publications] H. Takagi, H. Eisaki, S. Uchida and R. J. Cava: "Charge transport properties of strongly correlated matals near charge transfer insulator to metal transtion" Spectroscopy of Mott Insulators and Correlated metals. 185-193 (1995)
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[Publications] 高木英典: "ホウ素・炭素を含む新しい四次元化合物超伝導体の展開" 応用物理. 64. 310-317 (1995)