1996 Fiscal Year Annual Research Report
はしご型擬1次元及び三角格子量子スピン系のNMRによる研究
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07454081
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北岡 良雄 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (70110707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 憲二 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (90243196)
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Keywords | 三角格子 / はしご格子 / 量子スピン / スピンギャップ / スピン液体 / NMR |
Research Abstract |
本研究は、(1)高圧合成の手法で作成された2本鎖梯子型量子スピン系のSrCu_2O_3、LaCuO_<2.5>,常圧下で作成可能なSr_<14>Cu_<24>O_<41>、3本鎖のSr_2Cu_3O_5について、銅核のNMRよって量子スピン揺らぎの特性、および1次元から2次元系への基底状態のクロスオーバーを明らかにすること、 (2)良質な試料が得られた三角格子量子スピン系、LiNiO_2に関してLiのNMRによって低温・低磁場での磁気特性を明かにし、系固有の基底状態の性質を調べることを目的としている。 前年度に三角格子スピン系LiNiO_2は軌道縮退の自由度に起因したスピン液体が基底状態になっていることを示した。今年度は、さらに特異な基底状態の特徴を調べるために、低温比熱の測定を行いその温度のべき乗則的な変化からスピン液体状態にあることを示唆する結果を得た。 圧力誘起超伝導が発見された2本足スピンラダー系Sr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41+δ>について、ドープされたホールによるスピンギャップの変化を調べ、以下のような結果を得た。 1.スピンギャップの大きさはSr14で最大510K、Ca11.5で220Kまで減少することを、NMRシフト及び、核スピン格子緩和率、T_1の測定から明らかにした。 2.Ca9以上でスピンギャップの変化は飽和することが分かった。 3.低エネルギースピン励起の臨界揺らぎ的な振舞から60K以下でホールが局在することを見出した。 以上のことから、超伝導が加圧によってT_Lが減少することによって発現すると考えられる。スピンギャップが開き始める200KとT_Lとの間の金属相の加圧による変化、2次元系の低ドープ域での擬スピンギャップとの関係を明らかにすることが今後の重要な課題として残された。 以上のように、今年度は多くの成果を挙げることができた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] K.Ishida et.al.: "Spin correlation and spin gap in quasi-1D spin-1/2 cuprate oxides -A ^<63>Cu NMR study-" Physical Review B. 53,5. 2827-2834 (1996)
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[Publications] S.Matsumoto et.al.: "Competition between the singlet-spin liquid state and the magnetic ground state in a two-chain spin-1/2 antiferromagnetic ladder compound LaCuO_<2.5>-A^<63>Cu NMR study-" Physical Review B. 53,18. R11942-R11945 (1996)
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[Publications] 北岡 良雄: "2次元三角格子系におけるオ-ビタルフラストレーション" 物性研究. 64,5. 561-565 (1995)
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[Publications] K.Magishi: "^<63>Cu NMR study on spin ladder compounds Sr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41> (x=9,11.5)" Physica,C.印刷中. (1997)