1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454082
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金道 浩一 大阪大学, 極限科学研究センター, 助教授 (20205058)
|
Keywords | 強磁場 / パルス磁場 / 磁化測定 / 磁気抵抗測定 / CeNiSn / 近藤半導体 |
Research Abstract |
前年度、60テスラの磁場発生に成功した内径20mmの巻線コイルの実用型を完成した。すなわち、前年度製作したプロトタイプがヒートサイクルで著しい劣化を示すのに対し、完成型では絶縁部の強化によって、60テスラでの測定を繰り返し行えるようになった。ここに完成した方式でコイル線材を変えたマグネットを製作して、比較を行った。その結果、Cu線(引っ張り強度30kgf/mm^2)で57.4テスラ、Cu-Cr-Zr合金線(50kgf/mm^2)で63.3テスラそしてCu-Ag合金線(80kgfg/mm^2)では64.7テスラがそれぞれのマグネットの非破壊発生磁場の限界であることが分かった。Cu-Ag合金線の結果では線材の強度が十分には生かされていない。なぜならCu線でさえ60テスラ近くの発生が可能であることを考えれば、90テスラ程度の磁場が期待されうるからである。我々はこの原因を線材間の絶縁を司る絶縁物の強度の不足にあると考え、その点を改良したマグネットの製作を行った。結果は最初のコイルで71.2テスラを記録し、次のコイルでは69テスラを7回発生し、8回目に絶縁破壊が起こった。この様に極めて安定して内径18mmに70テスラを発生可能なマグネットは世界で初めてである。しかし、期待した90テスラにはまだ及ばないため、さらに絶縁やバックアップを強化する方法を開発する必要がある。 上述した60テスラの完成マグネットは既に物性研究に威力を発揮している。たとえば強相関伝導系物質のひとつである近藤半導体CeNiSnの磁化、磁気抵抗測定ではゼロ磁場で観測されていたフェルミ面上に開いた状態密度のギャップの構造を反映した振る舞いが観測されており、この物質の本質を理解する上で重要な手がかりがえられた。 来年度は、上述の70テスラマグネットの完成型を製作して、測定に供すると同時に100テスラを安定的に発生できるマグネットの開発を行う予定である。
|
-
[Publications] P.Ahmet: "Crystalline electric field and metamagnetic transition of PrCu_2" J.Phys.Soc.Jpn.65. 1077-1082 (1996)
-
[Publications] T.Fukuhara: "Metamagnetic behavior of the heavy-fermion compound CeNi_2Ge_2" J.Phys.Soc.Jpn.65. 1559-1561 (1996)
-
[Publications] Y.Maeda: "Double magnetic transitions in UPt_2 In" Physica B. 223-224. 228-230 (1996)
-
[Publications] R.Settai: "Metamagnetic transition based on the guadrcepole moment in PrCu_2" Physica B. 223-224. 389-391 (1996)