1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07454082
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金道 浩一 大阪大学, 極限科学研究センター, 助教授 (20205058)
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Keywords | 非破壊 / 強磁場 / 100テスラ / 磁化 |
Research Abstract |
前年度、71テスラを内径18mmの空間に発生することに成功した9層マグネットの再現性及び耐久性を調べて、69テスラを8回連続的に発生可能である事が分かった。実際の測定においては65テスラまでの磁化曲線を液体ヘリウム温度で測定した。我々はさらに磁場の上昇を目指し、このマグネットの内側に1層コイルを追加してテストを行ったところ、内径13.5mmの空間に77テスラの磁場を発生した。しかし、この結果を解析すると、追加した1層コイルと外側の9層コイルとで発生している磁場がそれぞれ8テスラと69テスラであり、外側のコイルが十分に機能していないことが分かった。この結果を追加したコイルの外側に及ぼす影響のために生じていると考え、内側のコイルのみを補強する目的でマルエージング鋼製のパイプを1層コイルの外側に配置してテストを行ったところ80.3テスラの磁場を10.5mmの空間に発生した。これは外側のコイルが71テスラを発生しており、目的が達成されていることが確認された。この磁場は非破壊で実用的な空間に発生するタイプとしては世界最高記録である。今後、二層目以降のコイルに対してもマルエージング鋼による補強を行う事で100テスラの発生が可能と考えられ、本年度の成果は本研究課題である100テスラでの磁化測定への大きな前進を示している。 上述した70テスラのマグネットは既に物性研究に威力を発揮している。たとえば強相関伝導系物質のひとつである近藤半導体YbB_<12>の磁化、磁気抵抗測定では結晶の方向に依存した形で40〜60テスラの間に絶縁体-金属転移が観測されており、この転移の本質を理解する上で重要な手がかりがえられた。来年度はさらにこのマグネットと希釈冷凍機を組み合わせて100mkの温度で65テスラまでの様々な物性研究を進める予定である。
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[Publications] T.Takeuchi: "Coupled spin-lattice transition in U_2Rh_3Si_5:Thermal expansions and magnetization" Phys.Rev.B. 56. 10778-10781 (1997)
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[Publications] R.Settai: "Single crystal growth and magnetic properties of CeRh_2Si_2" J.Phys.Soc.Jpn.66. 2260-2263 (1997)
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[Publications] T.Fukuda: "Negative temperature dependence of electrical resistivity in Ti-Ni alloys" Physica B. 237-238. 609-611 (1997)
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[Publications] K.Umeo: "Magnetic properties of the heavy-fermion antiferromagnet Ce_7Ni_3" J.Phys.Soc.Jpn.66. 2133-2137 (1997)
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[Publications] K.Sugiyama: "Metamagnetic magnetization in DyCu_2" Physica B. 230-232. 748-751 (1997)
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[Publications] H.Hori: "“Giant magnetoresistance"and the magnetic phase transition in TbNiSn" Phys.Lett.A. 224. 293-297 (1997)