1995 Fiscal Year Annual Research Report
X線磁気回折による希土類元素のスピンおよび軌道磁気モーメントの異方性の研究
Project/Area Number |
07454086
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 正久 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (90124362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 洋 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (90152967)
小泉 昭久 姫路工業大学, 理学部, 助手 (00244682)
坂井 信彦 姫路工業大学, 理学部, 教授 (60013497)
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Keywords | X線磁気散乱 / X線磁気回折 / 磁気形状因子 / スピン磁気モーメント / 軌道磁気モーメント / 異方性 / 希土類 / 磁気コンプトン散乱 |
Research Abstract |
(1)X線磁気回折実験用の試料冷凍機を整備し、性能の評価を行なった。任意の温度が短時間で得られるように、ヘリウム循環型冷凍機を採用した(到達温度は20K)。この型の冷凍機は、冷凍機本体からの振動が試料へ伝搬し精密なX線回折実験には適用できない場合があるが、本冷凍機では本体と試料支持部の間に除振機構(熱伝導性緩衝機構)を設置し、試料部位での振動振幅が数ミクロン(除振機構がないときは数十ミクロン)に抑えられた。これにより、平行性の極めて高い放射光でも低温X線回折実験が可能となり、キュリー温度が20K以上にある任意の強磁性体を対象とした高精度のX線磁気回折実験が可能となった。 (2)今回新たに、X線磁気回折実験が行なえるよう実験ステーションBL3C_2を改造・整備した。2種類の単結晶試料(FeとUFe_2)を用いた実験を行ない、以下の結果を得た。(UFe_2は希土類とFeの代表的な金属間化合物相(ラベス相)に属するものである。1.Feについて;(a)磁気形状因子をk(=sinθ/λ)の大きい領域(k=2Å^<-1>)まで初めて正確に測定することができた(従来はk=1Å^<-1>までのデータしかなかった)。(b)(hhO)面と(hhh)面の二つの系列の磁気形状因子を測定し比較したところ、高k領域でも異方性が観測された。(c)新たにk=2Å^<-1>までのバンド計算を行ないFeの磁気形状因子を求めた。計算結果は今回の実験結果と非常によい一致を示した。2.UFe_2について;X線磁気回折実験を20Kで行ない、現在実験結果を解析中である。UFe_2については磁気コンプトン散乱実験も行なっており、両者の結果からUFe_2のスピンおよび軌道磁気モーメントの詳細が明らかにされることが期待される。UFe_2では今回は(hhh)面の一つの系列しか測定できなかったが、今後(hOO)面,(hhO)面と測定を増やし、磁気形状因子の異方性を調べる予定である。
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