1995 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯大気海洋結合系における季節変動過程の数値実験による解明
Project/Area Number |
07454109
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木本 昌秀 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (30262166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 久美子 東京大学, 気候システム研究センター, 助手 (60270906)
沈 学順 東京大学, 気候システム研究センター, 助手 (40272538)
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Keywords | 気候モデル / 大気海洋結合モデル / 大気海洋相互作用 |
Research Abstract |
熱帯域の大気海洋相互作用に焦点を合わせた大気海洋結合モデルを構築した.大気は水平約800km,鉛直に20層の分解能を持ち,放射・積雲対流・境界層過程を含む本格的な大気大循環モデル,海洋部分は北極海を除く全海洋をカバーし,大気との相互作用をよく表現するため,表層約500mの混合過程に重点をおいた海洋大循環モデルを用いている.海洋の水平分解能は緯度方向2.0度,経度方向2.5度であるが,熱帯域の複雑な海流系を再現するため赤道から緯度10度以内は0.5度の細かいグリッドを用いている. モデルの気候値を現実のものと合わせるための海面での大気-海洋間のフラックス調整等,人為的操作を加えないで40年間大気海洋結合モデルを積分し,主として熱帯太平洋域での気候学的平均値,季節進行を観測データと対照・解析した. その結果,当計画で構築されたモデルは観測された海面水温の絶対値や東西傾度,季節進行等を定性的によくシミュレートし,またエルニーニョに似た年々変動も再現できることがわかった.とくに東太平洋域で北半球側のみに降雨帯が広がる特徴は観測とモデルでよく一致しており,数値実験により西進する大気海洋結合不安定モードが重要な役割を果たしていることが確かめられた.一方,赤道上の海水の湧昇が西方まで広がりすぎる,西太平洋での暖水の南北幅が狭い,等観測とモデル間での定量的に差異の大きい面も明らかとなった.結合系の気候値・季節リサイクルの決定機構を調べる敏感度実験,モデルの解像度の影響等を引き続き調べる必要がある.
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Research Products
(2 results)